なぜ人は不合理な選択を取るのか

なぜ人は不合理な選択を取るのか

 人は時に、不合理な選択を取ってしまうものである。痩せたいと思っても、暴飲暴食を繰り返す。行動しなければと分かっているのに、何のアクションも起こさない。これは、痩せて居たり、行動し続けている人からすれば、理解しがたい非合理的でない行動である。なぜそのような行動を取るのか。それを経済学の中でも、行動経済学の観点からそれを用いたビジネスの例を出していく。

 そもそも行動経済学とは、経済学では語ることのできない不合理な人間の行動について、人間の行動を観察することで、説明しようとする新しい経済学である。それが、ビジネス利用されている。まず、行動経済学が示した特徴として、人は「相対性」で判断する生き物である。同じ点数でも地元の少人数の学校で一番の子は「頭が良い」と判断され、都会の進学校で低い順位であれば「落ちこぼれ」となってしまう。相対性を利用した、ビジネスの例では「おとりの選択」である。他より明らかに劣った選択や、絶対に買わないような選択肢を持って来ることで意思決定に変化をもたらすというものである。これの例は、よく「松竹梅弁当」が用いられる。もし松を1000円、梅を500円で売っていれば、ほとんどの人が梅の弁当を購入すると考えられる。しかし、そこに700円の竹弁当を加えることで、多くの人が人が竹を買う傾向になる。そして、売り手が買わせたいのは「竹」であり、その他はおとりになっていることが多い。

 その他の例として、人は「アンカリング」するという特性を持っている。アンカリングは最初に提示された数字、または条件が基準となって、意思決定を無意識に変えられることだ。例えば、半額セールをやっている服屋さんで、着る必要のない服を買い込んでしまうことなどだ。このような不合理な行動は、私たちが思っている以上にしている。今はあまり見られないが、中国人の百均での爆買いなどもその一例であると考える。「必要だから買う」という基本的で根本的な目的から外れ、相対的感覚からの「安いから買う」に変わってしまうというわけである。

 非合理な人間の行動は、このようにビジネスに大きく利用され、それらは私たちの生活のすぐ近くにある。人間の心理をよく理解して、その上で消費者として買うかどうか、もしくは自分の仕事にどう生かすかが、この行動経済学を学ぶ大きな意義であると思う。そして行動経済学は日々の気付きから始まる。「人ってこんな行動の傾向があるな」という誰かの気づきから始まっている。人の行動の非合理性に気が付き巧に利用することで今のビジネスもも成り立っているのかもしれない。

参考文献 『予想どおりに不合理 行動経済学から明かす「あなたがそれをえらぶわけ選ぶわけ」』 著者:ダン アリエリー 和訳:熊谷淳子 早川書房 2020出版

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