アドラー心理学における勇気くじきについて

1.序論

 アドラー心理学では「勇気づけ」の存在が、その人の成長を促す役割がある。そのため、どのようにして「勇気づけ」を行うかが、重要であると言っても過言ではない。しかし、中には勇気がくじかれる事により、成長はおろか不適切な行動をとってしまう事がある。

2.本論

 人の行動に焦点を当てた際、中には不適切な行動をとってしまう人がいる。実はこの不適切な行動の背景には、目的や狙いと言った存在が隠れている。

 人とは本来、どのようにして幸せを感じるために行動するかと言うと、「共同体感覚」を持つ事である。この共同体に対して貢献していると言う実感が、周囲の人間関係を固めるものである。

 その反対に勇気がくじかれてしまった場合、これまで共同体に対して貢献していた姿勢が破壊的で非建設的な行動をしてしまう。(※1)

 そもそも人は目的を持って行動をすることが多い。これは共同体に貢献する事も共同体を破壊する事も同じ事である。例えば、学校でも問題行動を起こす児童が、家ではそう言った様子は見られない。その場合、学校で何かしらの影響で勇気がくじかれる事により、学校で問題行動を起こしていると考えられる。

 例を挙げた少年は、学校で勇気をくじかれてしまい問題行動に走ってしまった。その場合、少年の勇気をくじいた人物が存在する。アドラー心理学ではこの勇気をくじく人物について、6つの特徴があると考えている。それは恐怖による動機づけ、悲観的なマイナス思考、原因志向、聞き下手、重箱の隅をつつく、皮肉っぽいである。これら全てが当てはまる人が勇気くじきを行っていると言う訳ではなく、一つでも当てはまる事で無意識に勇気くじきを行っているのだ。日本は「どの」場面でも集団で時間を過ごす事が多い。自分や周囲の人が不適切な行動を取らないよう、勇気くじきは控える必要がある。(※2)

3.結論

 アドラー心理学では、勇気づけをする事で成長を促す事ができる。そのため、勇気づけを行う事は重要であると同時に、それを下げるような勇気くじきをしてはいけない。どんなに勇気づけをしても、マイナスである勇気くじきの影響が大きければ、共同体に対して破壊的になってしまう。そのため、勇気づけだけに囚われるのではなく、勇気くじきの状況を無くす事も重要である。

4.参考文献

・悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門

著  永藤かおる

監修 岩井俊憲

(※1)(※2) P53、P54

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