政治哲学における正義の概念

政治哲学における正義の概念

政治哲学において、正義とは何かという問いは、議論の対象となってきた。正義をどのように定義するかには、大きな影響力を持つ思想家たちが存在している。本稿では、それらの思想家たちの立場を踏まえた上で、正義の概念について考察していく。

まず、古代ギリシャの哲学者プラトンは「国家論」において、正義というものを具体的に説明した。それによると、正義とは、それぞれの役割を果たして全体が健全に機能することである。プラトンにとって正義の根源は「理性」というものにあり、それに従って社会が構成されることで、最も公平な社会が実現できると考えられた。

一方、現代においても影響力のある思想家として、ジョン・ロールズが挙げられる。ロールズにとって、正義というものは、公正な社会契約に基づくものである。彼は自己利益追求とも違う、公正なルールに従った社会が成立することが、最も正義に即した社会であると主張している。そのルールの基礎として、ロールズは二つの原理、すなわち「自由の原理」と「差異の原理」をあげている。自由の原理とは、個人が自由に活動できることが不可欠であり、差異の原理とは、不平等が不可避であるが、不平等によって不利な立場にある人々には、特権が与えられるべきであるというものである。

また、ロールズの右派の政治哲学者ロバート・ノジックも、正義の概念に興味を持っている思想家の一人である。彼は正義を、制度的に実現される「公正」に定義している。ノジックによれば、正義の実現には、人々が、自分の運命を決定することができ、自己責任をもって生きることができる社会が求められるとされる。そのため、政府の役割は、最小限に留めることが必要であるとされる。

以上のように、プラトン、ロールズ、ノジック等政治哲学者によって、正義の概念には様々な考え方がある。しかし、それら共通して言えることは、個人や社会のあり方において、公正なルールが必要不可欠であるということである。正義の概念は、その時代時代によってその考え方が変わり、変遷してきたが、それに共通するものとして、公正性と公平性が挙げられるだろう。すると、政治哲学における正義という概念は、理論的にも実践的にも多様な考え方からなるものであり、この問いに対する答え自体が歴史的な発展を遂げているように見える。

タイトルとURLをコピーしました