大学生が知っておきたい文学用語100選

以下では、文学(Literature)の世界を理解するうえで押さえておきたい用語を100個厳選し、それぞれ簡潔に解説します。文学理論や文芸批評、ジャンル・表現技法、時代や運動など幅広く取り上げていますので、学習や創作の参考にご活用ください。

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文学用語100選

  1. 文学(Literature)
    言葉を通じて人間の思考や感情、社会を表現・探究する文芸作品の総称。詩、小説、戯曲など多様なジャンルを含む。
  2. 文芸(Bungei / Letters)
    文学芸術の総称。言語表現を芸術として鑑賞する領域であり、文学とほぼ同義に使われる場合もある。
  3. 詩(Poetry)
    言葉のリズムやイメージを重視して感情や情景を凝縮的に表現する文芸形式。韻律や行分けが特徴。
  4. 散文(Prose)
    詩的な韻律や行分けを用いない通常の文章形式。小説やエッセイ、評論などが散文に含まれる。
  5. 小説(Novel)
    架空の物語世界を描く散文文学。登場人物、舞台、ストーリー展開による物語性が中心。
  6. 短編小説(Short Story)
    比較的短い文章量で完結する小説。集中力のあるストーリーテリングが求められる。
  7. エッセイ(Essay)
    筆者の体験や思考を自由な形式で綴る散文。随筆とも呼ばれ、個人的見解や感想が中心。
  8. 戯曲(Play / Drama)
    舞台上で演じられることを前提とした文学作品。台詞とト書きから構成され、劇文学とも呼ばれる。
  9. 悲劇(Tragedy)
    登場人物の苦悩や破滅を描き、深い感情的カタルシスをもたらすドラマのジャンル。
  10. 喜劇(Comedy)
    ユーモアや風刺を通じて人間模様を描き、笑いを誘うドラマのジャンル。幸福な結末を迎えることが多い。
  11. 叙事詩(Epic Poetry)
    英雄的な行為や神話的物語を壮大なスケールで描く韻文作品。古代からの伝統を持つ文学形式。
  12. 叙情詩(Lyric Poetry)
    個人の感情や情緒を直接的に歌い上げる詩。抒情詩とも書き、恋愛や自然への思いを表現することが多い。
  13. 韻文(Verse)
    押韻やリズム、行分けなど詩的形式に基づいて書かれた文章の総称。対義語は散文(Prose)。
  14. 散文詩(Prose Poem)
    行分けなどの詩的形式を用いず、散文によって詩的表現を試みる文学形式。
  15. 随筆(Zuihitsu)
    日本のエッセイ的文芸ジャンル。筆者の見聞や心情を思うままに綴った散文で、『枕草子』や『徒然草』が代表例。
  16. 隠喩(Metaphor)
    「〜のようだ」「〜のごとく」といった語を使わず、ある事物を別の事物に直接なぞらえる比喩技法。
  17. 直喩(Simile)
    「〜のように」「〜みたいに」などを用いて比喩を明示する技法。隠喩に比べて分かりやすい。
  18. 擬人法(Personification)
    人間でないもの(動物・無生物・抽象概念など)を人間のように表現する修辞技法。
  19. アナフォラ(Anaphora)
    文や詩の各行冒頭で同じ語句を繰り返す修辞法。強調やリズム効果を生む。
  20. 対句(Antithesis)
    正反対または対照的な言葉を並べる修辞技法。思想やイメージを際立たせる。
  21. 象徴(Symbol)
    抽象的な概念や感情を、具体的な物やイメージで示す表現。文学では深層的な意味をもつことが多い。
  22. 比喩(Figurative Language)
    ある事物を他の事物に喩える表現技法の総称。隠喩・直喩・擬人法などが含まれる。
  23. イメージ(Imagery)
    言葉によって生み出される視覚・聴覚・触覚などの感覚的イメージのこと。読者の感性に訴えかける。
  24. アレゴリー(Allegory)
    抽象的な概念や道徳的メッセージを、寓話や象徴的な物語に託して表現する手法。
  25. アイロニー(Irony)
    文字通りの意味とは逆の意図を示す表現。皮肉や風刺、逆説などが含まれる。
  26. パロディ(Parody)
    既存の作品を模倣・風刺・戯画化し、新たな意味や笑いを生み出す創作手法。
  27. パスティーシュ(Pastiche)
    様々な作家や様式の文体を模倣・寄せ集めして創作する手法。パロディとは異なり必ずしも風刺を伴わない。
  28. インターテクスチュアリティ(Intertextuality)
    テクスト(作品)が他のテクストと引用や暗示などで絡み合い、新たな意味を生み出す関係性。
  29. モチーフ(Motif)
    作品中で繰り返し登場する象徴的な要素やテーマ。物語全体を貫く重要なキーとなる。
  30. テーマ(Theme)
    作品が扱う中心的な思想や問題意識。愛、死、社会批判など、多様なテーマが文学に反映される。
  31. プロット(Plot)
    物語の起承転結や構成全体。出来事の配列や因果関係によって物語の流れが形作られる。
  32. サブプロット(Subplot)
    主要プロット(メインストーリー)に並行して描かれる副次的な物語。全体の厚みを増す役割がある。
  33. キャラクター(Character)
    小説や戯曲、漫画などに登場する人物や動物などの存在。性格や外見、バックグラウンドが描かれる。
  34. 視点(Point of View)
    物語を誰の立場・認識で描くかを指す。語り手が一人称か三人称か、全知か限定かなどによって作品の印象が変わる。
  35. 一人称視点(First-person Perspective)
    物語を登場人物(語り手)の「私」の目線で語る方法。主観的で臨場感がある。
  36. 三人称視点(Third-person Perspective)
    語り手が「彼」「彼女」などの第三者として描く方法。客観的な描写が可能だが、語り手の種類によって情報量が変化する。
  37. 全知視点(Omniscient Narrator)
    語り手が登場人物の内面や複数の場面を把握し、自由に描写する視点。神の視点とも呼ばれる。
  38. 限定視点(Limited Point of View)
    ある特定の人物や範囲に限られた情報しか語り手が知り得ない形式。読者は登場人物と同程度の情報しか得られない。
  39. 語り手(Narrator)
    物語を伝える存在。作者と語り手は必ずしも一致しないことに注意が必要。
  40. 設定(Setting)
    作品における時代・場所・社会環境など。キャラクターやプロットを支える世界観の土台となる。
  41. 時系列(Chronology)
    物語を時間の経過順に並べる構成。逆行や飛躍がある場合は非線形的なプロットとなる。
  42. 叙述トリック(Narrative Trick)
    読者を意図的に誤解させるような書き方や構成を用い、結末で意外な真相を明かす技法。
  43. 回想(Flashback)
    現在の物語の途中で過去の出来事を挿入し、背景や動機を説明する演出。映像作品でも多用される。
  44. 先行予告(Foreshadowing)
    物語中に後の展開を示唆するヒントや象徴を配置し、読者の期待を高める技法。
  45. クライマックス(Climax)
    物語の頂点となる緊迫した場面や感情の最高点。ここで解決や転換が起こることが多い。
  46. 結末(Resolution)
    物語の終局。クライマックス後に、紛糾していた問題や葛藤が一定の形で収束する。
  47. 余韻(Aftertaste / Denouement)
    物語が結末を迎えたあとに読者に残る感覚や情緒。作品の評価に大きな影響を与える。
  48. テクスト(Text)
    作品自体やその言語表現の総体を指す用語。文芸批評では文章の表面的・内面的構造を分析対象にすることが多い。
  49. リテラシー(Literacy)
    文字を読み書きする能力だけでなく、文学的・文化的文脈を理解し解釈する力も含む広義の概念。
  50. 本文批評(Textual Criticism)
    原典や写本を比較・検証して、正確なテクストを復元しようとする研究手法。
  51. 文体(Style)
    作品や作者特有の語彙選択、文のリズム、表現技法などの総合的な特徴。
  52. 語彙(Vocabulary)
    文章や作品で用いられる言葉の総体。選択や配置によって作風や表現力に大きく影響する。
  53. レトリック(Rhetoric)
    文章やスピーチを効果的かつ美しくするための表現技法の総称。修辞学として学問化されている。
  54. 韻律(Prosody)
    詩におけるリズムやアクセント、音の長短・高低などの形式的要素。詩の独特の「音楽性」を担う。
  55. ユーモア(Humor)
    面白みや滑稽さによって読者を和ませる要素。文学全般で重要な娯楽性やコミュニケーション手段となる。
  56. パトス(Pathos)
    読者の感情や情感に訴えかける側面。悲劇や抒情詩での強い感動などが例。
  57. エトス(Ethos)
    作者や語り手、登場人物が示す品性・倫理感。読者との信頼関係や説得力に影響を与える。
  58. ロゴス(Logos)
    論理や合理性を重視した内容。文学批評や評論などで論理構成がしっかりしていると説得力が高まる。
  59. 文芸評論(Literary Criticism)
    文学作品の内容や形式、背景などを分析・評価し、批評する学術的・芸術的な活動。
  60. 構造主義(Structuralism)
    テクストの底にある構造やパターンを重視し、文学作品を言語学的・記号学的視点から解釈する理論。
  61. ポスト構造主義(Post-structuralism)
    構造主義に対する批判や発展。テクストや意味が不安定で多義的であることを強調する。
  62. 脱構築(Deconstruction)
    ポスト構造主義の一手法。テクストの前提や矛盾を解体し、新たな意味や多層的読みを探る。
  63. マルクス主義批評(Marxist Criticism)
    文学作品を社会階級や生産関係などの観点から読み解く批評。イデオロギー批判を伴うことが多い。
  64. フェミニズム批評(Feminist Criticism)
    文学におけるジェンダーの表現や女性の立場を分析し、女性の声や視点を再評価する批評。
  65. 精神分析批評(Psychoanalytic Criticism)
    フロイトやユングなどの精神分析理論を応用し、登場人物や作者の無意識や欲望を読み解く手法。
  66. ポストコロニアル批評(Postcolonial Criticism)
    植民地支配の歴史や文化的影響を踏まえ、文学作品の中にある権力構造や差別を検証する批評。
  67. エクリチュール(Écriture)
    フランス語で「書くこと」「書かれたもの」を意味し、言語表現の行為そのものを指す文学理論の概念。
  68. モダニズム(Modernism)
    19世紀末から20世紀前半にかけての文学・芸術上の運動。伝統からの断絶、実験的表現が特徴。
  69. ポストモダニズム(Postmodernism)
    モダニズムへの反動・発展として生まれた多様な文芸潮流。客観的な真理や物語を疑い、断片性や相対性を重視する。
  70. ロマン主義(Romanticism)
    18〜19世紀に西洋で隆盛した文学運動。個人の感情や想像力、自然との融合を強調する。
  71. 写実主義(Realism)
    現実を客観的かつ正確に描こうとする文学理念。社会問題や日常描写に重点を置く。
  72. 自然主義(Naturalism)
    写実主義をさらに突き詰め、人間を環境や遺伝に支配される存在として厳しく描く流派。
  73. 象徴主義(Symbolism)
    19世紀末のフランスを中心に興った詩や文学の運動。言葉の象徴性を重視し、内面世界の暗示を行う。
  74. シュルレアリスム(Surrealism)
    潜在意識や夢、無意識下のイメージを重視する芸術運動。非合理性や不条理を肯定的に扱う。
  75. マジックリアリズム(Magic Realism)
    現実世界に幻想的・超自然的な要素が違和感なく溶け込む表現手法。ラテンアメリカ文学などで著名。
  76. アンチロマン(Anti-Romance)
    ロマン主義的な理想化や美化を否定し、現実の厳しさや醜さを直視する文学姿勢。
  77. 戯画(Caricature)
    登場人物や状況を誇張して描く手法。風刺や皮肉を込めて社会批判に用いられることもある。
  78. 風刺(Satire)
    社会的・政治的な問題を皮肉やユーモアで批判する表現。作者の主張や倫理観が色濃く表れる。
  79. 観念小説(Novel of Ideas)
    哲学的・思想的テーマを中心に据えた小説。物語性よりも概念の探究が重視される。
  80. 実験小説(Experimental Novel)
    従来の文体や構成を逸脱して、新しい文学的表現の可能性を探る作品群。
  81. 作家(Author / Writer)
    文芸作品を創作する人。物語の構築や文体の形成、主題の提示などで独自の世界観を示す。
  82. 作風(Author’s Style)
    作家が持つ独特の文体・構成・世界観。長年の執筆活動や時代背景によって変化する場合もある。
  83. ペンネーム(Pen Name)
    作家が本名とは別に名乗る筆名。性別や身分を隠すため、または作品のイメージを強調するためなど理由は多様。
  84. 文学賞(Literary Prize)
    優れた文学作品や作家を顕彰する制度。受賞作は広く読まれる機会が増える。
  85. 翻訳(Translation)
    原文を他言語へ置き換える作業。言語の違いや文化背景を理解し、作品の世界観をできる限り損なわないよう注意する。
  86. 校訂(Editing / Revising)
    原稿や写本の誤字脱字、重複などを確認し修正する作業。古典文学の場合は本文の整合性を図る重要な研究行為でもある。
  87. 文芸誌(Literary Magazine)
    文学作品や評論を掲載する定期刊行物。新人発掘や文壇の動向を知る場として機能する。
  88. 文壇(Literary World)
    作家や評論家、編集者など文学に携わる人々が形成するコミュニティや社会的な場。
  89. 中世文学(Medieval Literature)
    中世(ヨーロッパでは主に5〜15世紀)に成立した文学作品の総称。騎士道物語や宗教的題材が多い。
  90. 近代文学(Modern Literature)
    近代以降(19〜20世紀初頭)に成立した文学。個人主義や社会変革期のテーマが多く、リアリズムが台頭した。
  91. 現代文学(Contemporary Literature)
    第二次世界大戦後〜現在に至る時代の文学作品。価値観の多様化や実験的表現が特徴。
  92. 児童文学(Children’s Literature)
    子どもを主な読者層と想定した文学。童話や絵本、児童小説などが含まれる。
  93. ファンタジー(Fantasy)
    魔法や超自然的存在が登場する幻想的世界を舞台とする文学ジャンル。
  94. SF(Science Fiction)
    科学技術や未来社会を題材に、現実には存在しない設定を通じて人間や社会を考察する文学ジャンル。
  95. 推理小説(Mystery / Detective Fiction)
    犯人やトリックを探る物語を中心としたジャンル。謎解きを軸にサスペンスや論理構築を楽しむ。
  96. 大衆文学(Popular Fiction)
    広い読者層を意識したエンターテインメント性重視の文学。ミステリやロマンス、ライトノベルなどが該当。
  97. ミステリー(Mystery)
    犯罪や謎を解明していく要素を含む物語全般を指すジャンル。推理小説もその代表格。
  98. ホラー(Horror)
    恐怖や怪異をテーマにした作品。怪物や幽霊、心理的恐怖など多彩な手法で読者を戦慄させる。
  99. ロマンス(Romance)
    恋愛や情熱を中心に描くジャンル。男女の情熱的な愛情や葛藤をメインテーマとすることが多い。
  100. 文体模写(Stylistic Imitation / Pastiching Style)
    有名作家や特定の作品の文体をまねて創作する表現技法。オマージュや研究目的で使われることもある。

おわりに

これらの用語を把握することで、文学作品の構造や表現技法、歴史的背景、批評理論などをより深く理解できます。文学は多様なジャンル・運動や理論によって豊かに展開しており、作品を読む際や創作に取り組む際、上記の概念を念頭に置いてみると新たな発見があるかもしれません。ぜひ、各用語をさらに掘り下げて学んでみてください。

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