無印良品のフォントデザインのマーケティング効果について
序論
無印良品の店頭に足を踏み入れると、空間全体が静かな呼吸をしているように感じる。控えめな照明、木の匂い、そして棚にびっしりと並ぶ生成りのパッケージ。その統一感を陰で支えているのが、ロゴと同じ骨格で設計された独自の書体だ。文字は放たれた瞬間に意味と感情を同時に運ぶが、無印の文字はブランドの思想そのもの──「過不足のない暮らし」を視覚化する装置として機能している。本稿では、そのフォントが売上にどう作用しているかを、感性と経済の二つの軸で考察する。