内発的動機づけの低下：アンダーマイニング効果のメカニズムと影響

序論 内発的動機づけとは、個人が内面的な満足や興味に基づいて行動する動機のことを指します。例えば、趣味としての絵画や音楽の演奏は、外部からの報酬がなくても行われることが多いです。しかし、外的な報酬や評価が与えられることによって、内発的動機づけが低下する現象が観察されており、これを「アンダーマイニング効果」と呼びます。このレポートでは、アンダーマイニング効果のメカニズムを探り、その影響を考察します。

本論 アンダーマイニング効果のメカニズムは、主に二つの理論に基づいて説明されます。一つは、自己決定理論（Self-Determination Theory）です。この理論では、内発的動機づけは自己決定感、すなわち自分自身が行動を選択する自由を持つことによって高まるとされています。しかし、外的な報酬が与えられると、その行動が他者によって評価されるようになり、自己決定感が失われることがあります。結果として、内発的動機づけが低下するのです。 もう一つの理論は、「期待理論（Expectancy Theory）」です。この理論によると、報酬が与えられることで、個人はその行動が報酬を得るための手段であると認識し始めます。この場合、行動の目的が内発的な楽しさや興味から外的な報酬へとシフトし、内発的動機が低下します。さらに、外的報酬が期待に反して与えられない場合、動機づけがより一層損なわれる可能性があります。 アンダーマイニング効果の影響は、教育や職場などさまざまな場面で現れます。例えば、学校教育において、教師が生徒の努力に対して報酬を与えることが一般的です。しかし、過度な報酬や評価は、生徒の内発的な学びへの興味を削ぐことがあります。生徒が「良い成績を取るために勉強する」という外的な動機に偏ると、本来持っていた学習への興味が薄れ、結果的に学習効果が減少することがあります。 職場においても同様の現象が見られます。業績に対するボーナスや昇進の機会が強調されるあまり、従業員が仕事そのものに対する楽しみや満足感を失うことがあるのです。これにより、創造性や自主性が低下し、長期的には組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。

結論 内発