大学生が知っておきたい社会学用語100選

以下では、社会学(Sociology)を学ぶうえで重要とされる概念・用語を100個厳選し、それぞれ簡潔に解説します。社会学は、人間の社会的行動や集団・制度・文化など、多様なテーマを対象にした学際的な学問です。学習や調べものの際にお役立てください。

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社会学用語100選

  1. 社会学(Sociology)
    人間の社会的行動や集団、社会構造、文化などを体系的に研究する学問分野。
  2. 社会構造(Social Structure)
    社会を成り立たせている制度や階層、役割、組織などの仕組みや配置のこと。
  3. 社会秩序(Social Order)
    社会が混乱なく維持されている状態。法や規範、道徳などが秩序形成に寄与すると考えられる。
  4. 社会的関係(Social Relationship)
    個人や集団の間で生じる相互作用やつながり。友人関係や家族関係、職場での上下関係など。
  5. 社会階層(Social Stratification)
    社会が富や権力、地位などによって層化(階層分化)されること。階級や身分制度などが典型的。
  6. 社会移動(Social Mobility)
    個人や集団が社会的地位を上下・横方向に移動すること。上昇移動・下降移動や地理的移動を含む。
  7. 社会化(Socialization)
    子どもが成長過程で規範や価値観、行動様式を学び、社会の一員となっていくプロセス。
  8. 役割(Role)
    社会や集団が個人に期待する行動様式。例えば「母親」「上司」など、立場に応じた振る舞いが求められる。
  9. ステータス(Status)
    社会内での位置や地位。経済力、家柄、職業などにより決まる場合が多い。
  10. 価値観(Values)
    社会や個人が望ましい・大切だと考える信条や判断基準。文化や個人の経験に影響される。
  11. 規範(Norm)
    社会や集団で共有される行動の基準。これに反すると逸脱行動として非難される場合がある。
  12. 逸脱行動(Deviance)
    社会的規範や期待から外れた行動。犯罪だけでなく、社会の多数派から逸れる行為も含む。
  13. アノミー(Anomie)
    社会規範が弱体化し、人々が目的や手段を失って混乱する状態。デュルケームが提唱した概念。
  14. ラベリング理論(Labeling Theory)
    逸脱行動は客観的に存在するのではなく、「逸脱」とラベルを貼られることで生まれるという考え方。
  15. 社会問題(Social Problem)
    多数の人が不都合や不利益と感じ、解決を要する課題。犯罪、貧困、環境破壊などが典型例。
  16. 集合行動(Collective Behavior)
    群衆やデモ、パニックなど、不特定多数の人々が同時に取る一時的な行動パターン。
  17. 社会運動(Social Movement)
    社会や政治の変革を目指す、ある程度継続的かつ組織的な集団行動。公民権運動、環境運動など。
  18. アイデンティティ(Identity)
    自分が「自分である」と認識する自己定義。所属集団や社会的役割、文化的背景などと深く関連。
  19. 自我(Self)
    社会心理学や社会学で扱われる概念。自己意識や自己像のこと。ミードの理論が有名。
  20. 社会意識(Social Consciousness)
    社会や他者との関係の中で形成される意識。公共心や連帯感などの要素が含まれる。
  21. 社会集団(Social Group)
    互いに相互作用し、共通のアイデンティティを共有する集団。家族、友人、クラブなど。
  22. 一次集団(Primary Group)
    親密な人間関係が特徴で、感情的つながりの強い小規模集団。家族や親密な友人など。
  23. 二次集団(Secondary Group)
    目的達成のために集まる、形式的・大規模な集団。職場、学校、組織などが典型例。
  24. コミュニティ(Community)
    地域や趣味など、何らかの共通基盤を持ち、共同体意識を形成している集団・社会。
  25. 社会ネットワーク(Social Network)
    個人や集団間のつながりの構造。ネットワーク分析は社会学の重要な研究手法の一つ。
  26. 社会資本(Social Capital)
    信頼、規範、ネットワークなど、社会や地域で共有される関係性の資源。コールマン、パットナムらが提唱。
  27. 文化(Culture)
    社会や集団に伝承される価値観・行動様式・信念・芸術・知識などの総体。
  28. サブカルチャー(Subculture)
    主流文化とは異なる価値観やライフスタイルをもつ下位文化。若者文化や音楽シーンなどが例。
  29. カウンターカルチャー(Counterculture)
    既存の主流文化や社会規範に対して反発し、対立する価値観を持つ文化潮流。ヒッピー運動など。
  30. 異文化間比較(Cross-cultural Comparison)
    異なる文化や社会の間で習慣や価値観を比較し、共通点や相違点を探る研究方法。
  31. エスノメソドロジー(Ethnomethodology)
    人々が日常生活の中でどのように意味を作り、社会秩序を維持しているかを探る研究領域。
  32. 象徴的相互作用論(Symbolic Interactionism)
    人々が言語やシンボルを介して相互作用を行い、社会的現実を作り出すとする理論。ミードやブルーマーが代表。
  33. 機能主義(Functionalism)
    社会を相互に関連する部分からなるシステムと捉え、各部分が社会全体の安定と存続に寄与すると見る理論。
  34. 構造機能主義(Structural Functionalism)
    パーソンズなどが提唱。社会を構造と機能の視点から分析し、秩序や安定のメカニズムを解明しようとする。
  35. 紛争理論(Conflict Theory)
    社会は権力や資源をめぐる対立で常に変化するという視点。マルクス主義や社会的対立理論が代表的。
  36. 階級(Class)
    経済的地位や生産手段の所有状況で区分される社会的集団。マルクスの理論では中心的概念。
  37. マルクス主義(Marxism)
    資本主義社会の構造や矛盾を分析し、階級闘争と社会革命を説く思想・理論体系。
  38. 資本主義(Capitalism)
    生産手段の私有、利潤追求の自由競争を基盤とする経済・社会体制。社会構造や階層と深く結びつく。
  39. プロレタリアート(Proletariat)
    マルクス主義でいう労働者階級。生産手段を持たず、労働力を資本家に売って生活する。
  40. ブルジョワジー(Bourgeoisie)
    マルクス主義でいう資本家階級。生産手段を所有し、労働者を雇用する立場にある。
  41. 官僚制(Bureaucracy)
    権限や職務を階層的に細分化し、規則・手続きにより運用される組織形態。ウェーバーが詳細に論じた。
  42. 合理化(Rationalization)
    社会や組織が効率や計算可能性を重視し、伝統的・非合理な要素を排除していく過程。
  43. 近代化(Modernization)
    科学技術や合理主義の発展に伴い、伝統社会から近代社会へと移行していくプロセス。
  44. 世俗化(Secularization)
    宗教的権威が弱まり、社会や個人生活から宗教の影響が相対的に減少していく現象。
  45. 社会変動(Social Change)
    社会の構造や文化、制度が時間とともに変化すること。近代化、グローバル化などが主な要因。
  46. グローバル化(Globalization)
    経済、情報、文化などが国境を超えて拡大・一体化していく過程。地域社会に大きな影響を与える。
  47. 文化統合(Cultural Integration)
    異なる文化や要素が共存し、新たな文化体系としてまとまること。移民社会や多文化社会で問題に。
  48. メディア社会学(Media Sociology)
    マスコミやSNSなどのメディアが社会や個人に与える影響を研究する領域。
  49. マスコミュニケーション(Mass Communication)
    マスメディアを介して多数の受け手に情報を送ること。テレビ、ラジオ、新聞などが典型。
  50. 情報社会(Information Society)
    情報・知識が生産や生活の中心となる社会。IT技術の進展によって加速している。
  51. 社会調査(Social Survey)
    社会学の実証研究で用いられるデータ収集方法。アンケートやインタビュー、観察などを含む。
  52. 質的調査(Qualitative Research)
    インタビューや参与観察など、言語的・記述的データを重視する研究方法。
  53. 量的調査(Quantitative Research)
    統計分析が可能な数値データを収集し、測定可能な形で社会現象を分析する方法。
  54. インタビュー調査(Interview Research)
    研究対象者から直接話を聞き、深層的な情報や解釈を得る質的研究の代表的手法。
  55. 参与観察(Participant Observation)
    研究者が対象集団の活動に参加しながら観察を行う。文化人類学やコミュニティ研究で多用される。
  56. 無作為抽出(Random Sampling)
    量的調査で用いられるサンプリング法。母集団から統計的に偏りがないように標本を抽出する。
  57. 信頼性(Reliability)
    調査や測定を繰り返したとき、同様の結果が得られる安定性のこと。
  58. 妥当性(Validity)
    測定しようとする概念をどれだけ正確に測定できているかを示す指標。
  59. 相関関係(Correlation)
    2つ以上の変数の間に見られる統計的な関連性。因果関係とは限らない点に注意が必要。
  60. 因果関係(Causation)
    ある要因(原因)が別の要因(結果)に影響を及ぼしていること。相関があっても常に因果とは言えない。
  61. 社会統計学(Social Statistics)
    社会現象を数量的に把握・分析しようとする統計手法。国勢調査や各種サーベイが用いられる。
  62. 比較社会学(Comparative Sociology)
    異なる国や文化圏の社会現象を比較し、共通性や差異を解明する研究領域。
  63. 歴史社会学(Historical Sociology)
    歴史的視点を取り入れ、社会構造や制度の変遷過程を分析する学問領域。
  64. 家族社会学(Sociology of the Family)
    家族という集団や親子・夫婦関係、家族形態の変遷などを研究対象とする分野。
  65. 教育社会学(Sociology of Education)
    教育制度や学校文化、学歴社会など教育と社会の関係を研究する分野。
  66. 産業社会学(Industrial / Work Sociology)
    職場や労働組織、労使関係などを扱う分野。労働者の意識調査や企業文化の分析などが含まれる。
  67. 都市社会学(Urban Sociology)
    都市化や都市コミュニティ、都市問題など、都市をめぐる社会現象を分析する分野。
  68. 農村社会学(Rural Sociology)
    農村部のコミュニティや産業構造、人口移動などを研究する分野。都市社会学との比較も重要。
  69. ジェンダー(Gender)
    生物学的性差(セックス)ではなく、社会的・文化的に形成される性差や役割のこと。
  70. セクシュアリティ(Sexuality)
    性的指向や性的行動様式、性的アイデンティティなどを含む広範な概念。
  71. エスニシティ(Ethnicity)
    文化的背景や言語、習慣などを共有する集団アイデンティティ。人種とは異なる概念。
  72. 人種(Race)
    遺伝的特徴や身体的特徴に基づく分類。社会的・歴史的に構築された側面が強いとされる。
  73. 多文化主義(Multiculturalism)
    一つの社会の中で異なる文化やエスニシティを共存・尊重する考え方・政策。
  74. 移民・移住(Migration)
    人々が国境を越えて生活拠点を移すこと。社会学では移民コミュニティや受入社会との関係を分析。
  75. 社会的包摂(Social Inclusion)
    経済的、社会的、文化的に排除されがちな人々を、社会の一員として包括しようとする取り組み。
  76. 社会的排除(Social Exclusion)
    貧困や差別などにより、社会の主要な活動や資源から締め出される状況。
  77. 福祉国家(Welfare State)
    市民の最低限度の生活や福祉を政府が保障する仕組み。社会保障制度や公的扶助などが中心的役割を果たす。
  78. 貧困(Poverty)
    生活資金や資源が不足し、健康的な生活や文化的活動が困難となる状態。絶対的・相対的貧困がある。
  79. 格差(Inequality)
    所得や資産、教育、医療などの機会や資源が不平等に分配されている状態。
  80. 社会保障(Social Security)
    年金や医療保険、失業保険など、社会的弱者を支援する公的制度の総称。
  81. 社会病理学(Social Pathology)
    犯罪や自殺、アルコール依存など、社会問題や逸脱行動を病理的に捉える視点・研究領域。
  82. 犯罪社会学(Criminology / Sociology of Crime)
    犯罪の発生原因や被害、刑事司法制度などを社会学的に研究する分野。
  83. 医療社会学(Medical Sociology)
    健康や病気、医療制度などを社会的文脈から考察する分野。
  84. 宗教社会学(Sociology of Religion)
    宗教が社会や個人に与える影響、宗教組織の構造、世俗化などを分析する領域。
  85. 環境社会学(Environmental Sociology)
    環境問題や自然環境と社会の関係を探る分野。持続可能性やリスク問題が中心テーマ。
  86. リスク社会(Risk Society)
    近代化と技術発展に伴い、人々が多様なリスク(環境汚染、原発事故など)に直面する社会。ベックが提唱。
  87. グローバル・シティ(Global City)
    経済や情報の中心として世界的に影響力を持つ都市。ニューヨーク、ロンドン、東京などが代表例。
  88. 高齢化(Aging Society)
    社会全体で高齢者の割合が増加する現象。医療・介護・年金などの社会制度への影響が大きい。
  89. 少子化(Declining Birthrate)
    出生率の低下による子どもの総数の減少現象。労働力不足や社会保障制度への影響が懸念される。
  90. 世代間関係(Intergenerational Relations)
    親世代・子世代・孫世代など異なる世代間の相互作用。扶養や文化継承などが焦点となる。
  91. 世代論(Generation Theory)
    時代背景や社会的出来事を共有する同世代に特有の価値観や行動様式を分析する理論。
  92. ネットワーク社会(Network Society)
    情報通信技術の発展により、ネットワークを介した交流や情報流通が主流となった社会。
  93. 労働社会学(Sociology of Labor)
    労働市場や雇用形態、労働者の意識など、働くことをめぐる社会的側面を分析する分野。
  94. 社会運動論(Social Movement Theory)
    社会運動の発生過程や動員メカニズム、成功要因などを理論的に解明しようとする研究領域。
  95. 公共圏(Public Sphere)
    個人の意見交換や意思形成が行われる、国家権力から独立した市民的空間。ハーバーマスが提唱。
  96. デジタル・デバイド(Digital Divide)
    インターネットやITの普及に伴い、生じる情報格差。利用環境やリテラシーの差が原因となる。
  97. ライフコース(Life Course)
    人が誕生から死に至るまでの人生過程を社会・文化的文脈と関連づけて研究する視点。
  98. ホモソーシャル(Homosocial)
    男性同士、あるいは女性同士など、同性間で形成される親密関係やネットワークのこと。
  99. 身体社会学(Sociology of the Body)
    身体や健康、美容などが社会文化とどう相互作用するかを分析する社会学の一領域。
  100. ポストモダン社会学(Postmodern Sociology)
    大きな物語や中心的価値観が解体された後の社会を対象に、新たな社会理論や文化現象を探究する視点。

おわりに

上記の用語は、社会学のさまざまな領域(理論、調査方法、社会構造、文化、家族、教育、都市、ジェンダー、環境など)を広くカバーしています。社会学は、人々の暮らしや社会現象を多角的に捉える学問であり、他の社会科学や人文科学とも密接に関連します。今回のリストをきっかけに、それぞれの概念や理論をさらに深く学び、社会をより豊かに理解していただければ幸いです。

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