大学生が知っておきたい経済学用語100選

以下では、経済学を学ぶ上で押さえておきたい主要な用語を100個厳選し、それぞれ簡潔に解説します。経済学の基本概念からマクロ経済指標、ミクロ経済理論、国際経済、行動経済学、公共経済学など、幅広い領域の用語を含んでいます。学習や調べ物の際の参考にご活用ください。

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経済学用語100選

  1. 需要(Demand)
    消費者が商品やサービスを購入したいという欲求・購入量。価格や所得などによって変動する。
  2. 供給(Supply)
    生産者が商品やサービスを提供する量。原材料費や生産技術などの要因で変動する。
  3. 需要曲線(Demand Curve)
    価格と需要量の関係を示すグラフ。通常、価格が下がると需要量が増える形状をとる。
  4. 供給曲線(Supply Curve)
    価格と供給量の関係を示すグラフ。通常、価格が上がると供給量が増える形状をとる。
  5. 市場均衡(Market Equilibrium)
    需要量と供給量が釣り合う価格・取引量。市場の需要曲線と供給曲線が交わる点で決まる。
  6. 超過需要(Excess Demand / Shortage)
    ある価格で需要量が供給量を上回った状態。価格が上昇しやすい要因となる。
  7. 超過供給(Excess Supply / Surplus)
    ある価格で供給量が需要量を上回った状態。価格が下落しやすい要因となる。
  8. 価格弾力性(Price Elasticity)
    価格が変化したとき、需要量や供給量がどれだけ変化するかの度合い。需要の価格弾力性・供給の価格弾力性などがある。
  9. 所得弾力性(Income Elasticity)
    所得の変化が需要量に与える影響の度合い。所得が上がると需要が大きく変わる財を「奢侈財」、変化が小さい財を「必需財」などと呼ぶ。
  10. 代替財(Substitute Goods)
    類似の機能を持ち、互いを代替できる関係にある財。片方の価格上昇はもう片方の需要増につながる場合が多い。
  11. 補完財(Complementary Goods)
    一緒に消費される関係にある財。一方の価格上昇はもう一方の需要減につながる場合が多い。
  12. 限界効用(Marginal Utility)
    財やサービスを1単位追加消費したときに得られる追加的な満足度。通常、消費量が増えると限界効用は低下する(限界効用逓減の法則)。
  13. 限界収益(Marginal Revenue)
    企業が財を1単位多く販売することで得られる追加的な収益。市場構造により変化する。
  14. 限界費用(Marginal Cost)
    企業が財を1単位追加生産するときにかかる追加的な費用。生産量が増えると限界費用が上昇する場合が多い。
  15. 平均費用(Average Cost)
    生産全体の費用を生産量で割ったもの。規模の経済や固定費の影響が含まれる。
  16. 利潤(Profit)
    企業の収益から費用を差し引いたもの。会計上の利潤・経済学上の利潤など概念が異なる場合もある。
  17. 完全競争市場(Perfect Competition)
    多数の売り手と買い手が存在し、製品が同質で参入・退出が自由な市場。個々の企業は価格支配力を持たない。
  18. 独占(Monopoly)
    市場を1社が支配している状態。他社の参入が困難なため、価格設定力が高い。
  19. 寡占(Oligopoly)
    少数の大企業が市場を支配している状態。価格や生産量の戦略的決定が重要となる。
  20. 独占的競争(Monopolistic Competition)
    多数の企業が存在しつつも製品が差別化されており、各企業がある程度の価格設定力を持つ市場形態。
  21. ゲーム理論(Game Theory)
    プレイヤー(企業や個人など)が戦略的に意思決定する状況を数理的に分析する理論。囚人のジレンマやナッシュ均衡が有名。
  22. ナッシュ均衡(Nash Equilibrium)
    各プレイヤーが自分の戦略を最適化したとき、誰も戦略を変えない状態。ゲーム理論の重要概念。
  23. GDP(国内総生産 / Gross Domestic Product)
    一定期間内に国内で生産された最終財・サービスの総額。経済規模を測る代表的指標。
  24. GNP(国民総生産 / Gross National Product)
    国民(国籍ベース)が一定期間に生産した財・サービスの総額。国内総生産と異なり、海外での生産分も含む。
  25. 名目GDP(Nominal GDP)
    その時点の市場価格で評価したGDP。物価変動の影響を含む。
  26. 実質GDP(Real GDP)
    基準年の物価を用いて評価したGDP。インフレやデフレなど物価変動の影響を除去し、実質的な経済成長を測る。
  27. 経済成長率(Economic Growth Rate)
    GDPなどが前年比でどれだけ増加したかを示す割合。政策効果や景気動向を判断する重要指標。
  28. インフレーション(Inflation)
    物価水準が継続的に上昇する現象。過度に進行すると通貨価値が下がり、経済に混乱をもたらす。
  29. デフレーション(Deflation)
    物価水準が継続的に下落する現象。消費や投資の停滞を招き、経済活動を抑制する。
  30. スタグフレーション(Stagflation)
    景気停滞(失業率の上昇)と物価上昇が同時に起こる状態。財政・金融政策での対処が難しい。
  31. 消費者物価指数(CPI / Consumer Price Index)
    消費者が購入する財・サービスの価格を総合的に測定した物価指数。インフレ指標として用いられる。
  32. 生産者物価指数(PPI / Producer Price Index)
    生産者が販売する財・サービスの価格水準を示す指数。企業間取引価格の指標。
  33. 購買力平価(PPP / Purchasing Power Parity)
    異なる国の通貨価値を比較する際、同一バスケットの財・サービスを購入できる通貨レート。同一購買力を仮定している。
  34. 一人当たりGDP(GDP per Capita)
    GDPを人口で割った指標。一人当たりの豊かさを測る目安とされる。
  35. 公共財(Public Goods)
    非排除性・非競合性を持つ財やサービス。道路や公園、防衛などが典型例。
  36. 外部性(Externality)
    ある経済主体の行動が第三者に影響を与えること。公害などの負の外部性と、技術革新などの正の外部性がある。
  37. 市場の失敗(Market Failure)
    市場メカニズムだけでは効率的な資源配分が実現しない状況。外部性や公共財、情報の非対称性などが原因となる。
  38. 情報の非対称性(Asymmetric Information)
    売り手と買い手の間で、保有する情報が異なる状態。逆選択やモラルハザードなどの問題を引き起こす。
  39. 逆選択(Adverse Selection)
    情報の非対称性により、質の悪い商品やリスクの高い契約が市場に集まりやすくなる現象。保険市場などで問題化しやすい。
  40. モラルハザード(Moral Hazard)
    保険や保証制度があることで、リスク回避行動が弱まる現象。情報の非対称性とセットで起こりやすい。
  41. 機会費用(Opportunity Cost)
    ある選択肢を選ぶことで失われる他の選択肢から得られる利益。経済学的な意思決定で重要な概念。
  42. 限界分析(Marginal Analysis)
    「1単位増減させたらどうなるか」を考えて意思決定を行う手法。費用対効果を比較する際に用いられる。
  43. 比較優位(Comparative Advantage)
    他国より生産コストが低い(機会費用が小さい)財を専門的に生産・輸出することで、貿易の利益を得られるという理論。
  44. 絶対優位(Absolute Advantage)
    他国よりも同じ量を生産するのに必要なリソースが少ない場合に、その国が持つ優位性。
  45. 保護貿易(Protectionism)
    関税や輸入制限などで国内産業を保護する政策。短期的には国内企業を守るが、長期的には競争力の低下を招く可能性がある。
  46. 自由貿易(Free Trade)
    関税や数量制限などの貿易障壁を取り除いた貿易形態。理論上は比較優位に基づく国際分業が促進され、世界的な効率向上が期待される。
  47. 関税(Tariff)
    輸入品に課される税金。政府の財源確保や国内産業保護などを目的として課せられる。
  48. 非関税障壁(Non-tariff Barriers)
    関税以外で貿易を制限する規制。輸入規制や技術基準などが該当する。
  49. 為替レート(Exchange Rate)
    ある国の通貨を別の国の通貨に交換する際の比率。通貨需要や金利差、国際収支などによって変動する。
  50. 変動為替相場制(Floating Exchange Rate System)
    為替レートが需要と供給に応じて変動する制度。主要国で広く採用されている。
  51. 固定為替相場制(Fixed Exchange Rate System)
    通貨当局が一定のレートを維持する制度。自国通貨の変動を小さく抑えられるが、外貨準備などで大きなコストがかかる場合がある。
  52. 経常収支(Current Account)
    国際収支の一部で、貿易収支(輸出入)、サービス収支、所得収支(利子・配当)などの合計。国の対外的な収益力を示す。
  53. 資本移転等収支(Capital Transfer Account)
    国際収支における資本移転や無形資産のやり取りを表す項目。経常収支、金融収支と合わせて国際収支を構成する。
  54. 金融収支(Financial Account)
    国際収支の一部で、直接投資、証券投資、その他投資などによる資本の移動を表す。国際的な資産と負債の変化を示す。
  55. 購買力(Purchasing Power)
    一定の所得や資金で購入できる財・サービスの量。物価が上昇すると購買力は低下する。
  56. フィリップス曲線(Phillips Curve)
    失業率とインフレ率の間にトレードオフがあるとする理論。短期的には逆相関が見られるが、長期では成り立たないとされる。
  57. マネーストック(Money Stock)
    経済主体(個人や企業など)が保有する通貨量の総計。M1、M2など段階的な指標がある。
  58. 流動性選好(Liquidity Preference)
    人々が利子を犠牲にしてでも資金を現金や預金として保有したいという欲求。金利水準と深く関係する。
  59. 貨幣乗数(Money Multiplier)
    中央銀行が供給したマネタリーベースが、預金創造を通じてどれだけマネーストックを増やすかを示す倍率。
  60. マネタリーベース(Monetary Base)
    中央銀行が直接コントロールできる通貨量のこと。現金通貨(紙幣と硬貨)と民間銀行が持つ日銀当座預金などを含む。
  61. 中央銀行(Central Bank)
    通貨発行や金融政策の実施を担う機関。日本では日本銀行、アメリカでは連邦準備制度(FRB)が該当。
  62. 金利政策(Interest Rate Policy)
    中央銀行が金利を操作することで景気や物価をコントロールする政策。利上げ・利下げが代表的な手段。
  63. 量的緩和(Quantitative Easing)
    中央銀行が市場から国債などの資産を大量に買い入れ、マネタリーベースを拡大させる金融政策。超低金利状態でも景気刺激を狙う手段。
  64. 金融引き締め(Tight Monetary Policy)
    金融環境を引き締める政策。主にインフレが過熱するときに金利を引き上げるなどの手段で実施される。
  65. フィッシャー方程式(Fisher Equation)
    名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率、という関係式。金融市場やインフレ分析で用いられる。
  66. 財政政策(Fiscal Policy)
    政府が公共投資や減税などによって景気を調整する政策。政府支出と税制が主なツール。
  67. 乗数効果(Multiplier Effect)
    政府支出の増加などが実際のGDPを拡大する際の倍数効果。ケインズ経済学で重要視される。
  68. プライマリーバランス(Primary Balance)
    政府の基礎的財政収支。公債の利払い費を除く歳出と税収など歳入の差で、財政の健全度を測る指標。
  69. 国債(Government Bond)
    政府が資金調達のために発行する債券。利回りは国の信用リスクや金融政策の影響を受ける。
  70. クラウディングアウト(Crowding Out)
    政府が資金を大量に借り入れることで、市場の金利が上昇し民間投資が減少する現象。
  71. 公的年金(Public Pension)
    国が運営する年金制度。積立方式と賦課方式があり、高齢化社会における持続可能性が議論となる。
  72. 社会保障(Social Security)
    医療保険や失業保険、年金など、国民の生活を保障する制度。財政負担とのバランスが課題。
  73. 格差社会(Inequality)
    所得や資産などの分配が不均衡に拡大する状態。経済的機会や社会的公正に影響を与える。
  74. ベーシックインカム(Basic Income)
    全ての国民に対して無条件で一定額を給付する仕組み。貧困対策や労働インセンティブへの影響などが議論される。
  75. 労働生産性(Labor Productivity)
    労働者一人あたり、もしくは労働時間あたりの生産量。経済成長や企業競争力の重要指標。
  76. 雇用の弾力性(Employment Elasticity)
    経済成長(GDP成長)に対して雇用がどの程度増減するかを示す指標。
  77. 失業率(Unemployment Rate)
    労働力人口のうち仕事を求めているが就業できていない人の割合。景気の動向を示す重要指標。
  78. 労働需要曲線・労働供給曲線(Labor Demand & Supply)
    賃金水準と雇用量の関係を示す曲線。労働市場の均衡分析に用いられる。
  79. 最低賃金(Minimum Wage)
    法的に定められた賃金の下限。低所得者保護が目的だが、雇用量に影響を与える可能性がある。
  80. 人資本(Human Capital)
    教育や訓練などにより高められる労働者の能力。経済成長の源泉の一つとされる。
  81. 技術進歩(Technological Progress)
    新技術の導入や生産プロセスの改善によって生産性が向上すること。長期的な経済成長のカギ。
  82. イノベーション(Innovation)
    新たな価値やプロセスを生み出す活動。企業・経済の成長エンジンとして重要視される。
  83. スピルオーバー効果(Spillover Effect)
    ある経済活動が他の企業や地域、セクターに波及して影響を与える現象。正の外部性の例として取り上げられる。
  84. 生産可能性フロンティア(Production Possibility Frontier)
    利用可能な資源と技術で生産できる最大限の組み合わせを示す曲線。経済の効率性を分析する際に用いられる。
  85. ヒト・モノ・カネの流動性(Mobility of Labor, Goods, and Capital)
    国境や地域を越えた労働力、商品の移動、資金の流入・流出の度合い。グローバル化の鍵。
  86. ソロー成長モデル(Solow Growth Model)
    資本蓄積や労働人口、技術進歩が経済成長を左右するという古典的モデル。収穫逓減や定常状態が重要概念。
  87. 内生的成長理論(Endogenous Growth Theory)
    技術進歩や知識集約などが経済内部の要因として成長をもたらすとする理論。政策の重要性も示唆する。
  88. 新古典派合成(Neoclassical Synthesis)
    ケインズ経済学と新古典派経済学を統合し、短期的には需要管理政策、長期的には市場メカニズムを重視する考え方。
  89. ケインズ経済学(Keynesian Economics)
    有効需要の不足が不況を生むとし、政府が積極的に介入し景気を調整すべきと主張する理論。
  90. 新自由主義(Neoliberalism)
    小さな政府・自由競争を重視する経済思想。規制緩和や民営化を進め、効率的な市場メカニズムを追求する。
  91. 行動経済学(Behavioral Economics)
    心理学や行動科学の知見を取り入れ、人間が必ずしも合理的に行動しないことを前提に分析する経済学。
  92. ナッジ理論(Nudge Theory)
    行動経済学の一分野で、人々が無意識的・非合理的な行動をとる傾向を前提に、望ましい選択肢へ誘導する手法。
  93. 心理的会計(Mental Accounting)
    人々が所得や支出を用途別に心の中で仕分けし、非合理的な消費・貯蓄行動をとることがあるという行動経済学の概念。
  94. 効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis)
    市場にはすべての利用可能な情報が瞬時に反映されるため、平均的に超過利益を得ることは困難という仮説。
  95. CAPM(資本資産評価モデル / Capital Asset Pricing Model)
    市場リスクに対して資産がどの程度報酬を得るべきかを示すモデル。株式などのリスク資産評価に用いられる。
  96. ポートフォリオ理論(Portfolio Theory)
    リスクとリターンのバランスを考慮しつつ資産を組み合わせることで、全体のリスクを軽減できるという理論。
  97. 財・サービスの差別化(Product Differentiation)
    他社製品と異なる特徴を打ち出すことで、価格競争を回避し付加価値を高めるマーケティング戦略。
  98. ライフサイクル仮説(Life Cycle Hypothesis)
    人は一生を通じて消費を均すように計画し、若年期には借り入れ、中高年期に貯蓄、老年期に取り崩しをするという消費仮説。
  99. 恒常所得仮説(Permanent Income Hypothesis)
    人々は一時的な収入変動ではなく、長期的な平均所得を基準に消費を決定するとする仮説。
  100. 景気循環(Business Cycle)
    好況、後退、不況、回復といった景気の変動パターン。4つの局面を繰り返すとされる。

おわりに

以上、経済学を学ぶうえで重要とされる100の用語を簡単に解説しました。経済学は、個々の消費者や企業の行動を扱うミクロ経済学から、国全体の景気や金融政策を扱うマクロ経済学、さらに国際貿易や行動経済学など多岐にわたる領域を含みます。これらの用語を理解・整理することで、経済の仕組みや政策の影響をより深く考察できるようになるでしょう。学習や実務でのご参考にしていただければ幸いです。

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