以下では、世界史(World History)の学習において知っておきたい主要なキーワードを100個厳選し、それぞれ簡潔に解説します。先史時代から現代史までの重要テーマや出来事、思想や制度・文化の大きな流れを網羅しています。学習・調査の際の参考にどうぞ。
世界史用語100選
- 先史時代(Prehistory)
文字が発明される以前の人類史。旧石器時代から新石器時代にかけての狩猟・採集生活、農耕の開始などを含む。 - オリエント(Orient)
地理的には古代の西アジア・エジプト地域。メソポタミア文明やエジプト文明など、人類最古級の都市文明が発達した。 - メソポタミア文明(Mesopotamian Civilization)
ティグリス・ユーフラテス川流域で栄えた文明。都市国家ウルやウルク、楔形文字、ジッグラトなどが特徴。 - 楔形文字(Cuneiform)
メソポタミア文明で使用された文字。粘土板に楔(くさび)状の刻みを入れて記録した。 - ハンムラビ法典(Code of Hammurabi)
古バビロニア王ハンムラビによる法典。「目には目を、歯には歯を」で知られ、成文法の先駆けとされる。 - エジプト文明(Ancient Egyptian Civilization)
ナイル川流域で発展した古代文明。ピラミッドやファラオの統治、ヒエログリフ(神聖文字)が有名。 - ファラオ(Pharaoh)
古代エジプトの王。神の化身とされ、宗教・政治両面で絶対的権威を持った。 - ヒエログリフ(Hieroglyphs)
古代エジプトの象形文字。神殿や墓に刻まれ、ロゼッタ・ストーンの解読により読み方が明らかとなった。 - インダス文明(Indus Valley Civilization)
インダス川流域で栄えた都市文明。モエンジョ=ダーロやハラッパーなど計画都市が特徴的。未解読の文字も残る。 - 中国文明(Chinese Civilization)
黄河流域を中心に成立した古代文明。殷・周などの王朝を経て、独自の文字(甲骨文字)や青銅器文化が発展。 - 殷(Shang Dynasty)
中国最古の王朝とされる。甲骨文字の使用が確認され、占いを通じて政治・宗教を司った。 - 都市国家(City-state)
一つの都市とその周辺地域が独立した政治単位を形成。古代ギリシアやメソポタミアで典型的に見られる。 - ポリス(Polis)
古代ギリシアの都市国家。アテネやスパルタが代表例で、市民権と直接民主制が特徴的。 - アテネ(Athens)
古代ギリシアの都市国家。民主政が発達し、ペリクレス時代には文化・芸術が黄金期を迎えた。 - スパルタ(Sparta)
古代ギリシアの軍事国家。厳格な軍事訓練と貴族支配が特徴で、アテネとはしばしば対立した。 - ペルシア戦争(Greco-Persian Wars)
前5世紀前半、ギリシア都市国家連合がアケメネス朝ペルシアに対抗して勝利を収めた一連の戦争。 - ヘレニズム(Hellenism)
アレクサンドロス大王の遠征以降、ギリシア文化とオリエント文化が融合・拡散した時代や文化現象を指す。 - アレクサンドロス大王(Alexander the Great)
マケドニアの王。広大な帝国を築き、ギリシアからインド西部に至る地域でヘレニズム文化を普及させた。 - ローマ共和政(Roman Republic)
王政を廃止した後のローマ(前509〜前27)。元老院とコンスルを中心とした体制で拡大を続けた。 - ポエニ戦争(Punic Wars)
ローマとカルタゴの間で行われた3回の戦争。ハンニバルの活躍などで知られ、最終的にローマが地中海の覇権を握った。 - カエサル(Julius Caesar)
ローマ共和政末期の軍人・政治家。ガリア遠征などで功績を上げ、独裁官となるが、元老院派に暗殺された。 - アウグストゥス(Augustus)
カエサルの後継者オクタウィアヌスが得た尊号。帝政ローマ(元首政)を始め、長期の「パクス・ロマーナ」をもたらした。 - パクス・ロマーナ(Pax Romana)
ローマの平和とも呼ばれる、初代皇帝アウグストゥスから五賢帝時代までの約200年間の安定期。 - キリスト教(Christianity)
イエス・キリストを信仰の中心とし、ローマ帝国末期に国教化。中世ヨーロッパ社会の精神的支柱となる。 - ゲルマン大移動(Migration Period)
4〜6世紀、ゲルマン諸族が東方から西ローマ帝国内へ大規模に移住・侵入した現象。西ローマ帝国滅亡の一因。 - ビザンツ帝国(Byzantine Empire)
東ローマ帝国とも呼ばれる。首都コンスタンティノープルを中心に千年近く存続し、ギリシア正教やローマ法の継承を担った。 - 封建制(Feudalism)
中世ヨーロッパにおける主従関係。領主が従者に封土を与え、従者は軍役などで報いる社会構造。 - 荘園制(Manorial System)
中世ヨーロッパで成立した領主直営地と農奴の農地から成る経営形態。農奴は領主に地代や労役を納めた。 - 十字軍(Crusades)
11〜13世紀、キリスト教国が聖地奪還を名目に行った遠征。ヨーロッパ社会・経済・文化に大きな影響を与えた。 - マグナ・カルタ(Magna Carta)
1215年、イングランド王ジョンが貴族に認めた勅許状。王権の制限や法の支配の原型として重要視される。 - 百年戦争(Hundred Years’ War)
14〜15世紀にかけて、イングランドとフランス間で繰り返された戦争。ジャンヌ・ダルクの活躍などが有名。 - 黒死病(ペスト)(Black Death)
14世紀半ばにヨーロッパを中心に大流行した疫病。人口の激減により社会・経済構造が変化した。 - ルネサンス(Renaissance)
14〜16世紀、イタリアを起点とする古典文化の復興運動。ダ・ヴィンチやミケランジェロなど芸術・学問が花開いた。 - 宗教改革(Reformation)
16世紀、ルターやカルヴァンらがカトリック教会の腐敗を批判し、プロテスタント諸派が誕生。欧州に宗教対立をもたらす。 - 大航海時代(Age of Discovery)
15〜17世紀、ヨーロッパ諸国が海外への航海を拡大し、新航路の発見と植民地経営を進めた時代。 - コロンブス(Christopher Columbus)
スペイン王室の支援で1492年に大西洋を渡航。アメリカ大陸に到達し、ヨーロッパの新世界進出を加速させた。 - マゼラン(Ferdinand Magellan)
世界一周航海を主導(本人は途中でフィリピンにて戦死)。地球球体説を実証し、大航海時代の象徴的人物。 - 植民地帝国(Colonial Empire)
16世紀以降、欧州諸国(スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランスなど)がアジア・アフリカ・アメリカ大陸を支配し形成した帝国。 - 三角貿易(Triangle Trade)
近世、大西洋を跨いで行われた貿易構造。ヨーロッパ(工業製品)→アフリカ(奴隷)→アメリカ(原材料・農産物)→ヨーロッパの循環。 - 絶対王政(Absolutism)
16〜18世紀に欧州で広まった、王が強大な権力を掌握する政治体制。ルイ14世のフランスが典型。 - ルイ14世(Louis XIV)
フランス・ブルボン朝の王。「太陽王」と称され、ヴェルサイユ宮殿を築き絶対王政を体現。長期統治(1643〜1715)で欧州の覇権を争った。 - 重商主義(Mercantilism)
近世ヨーロッパの経済政策。国家が貿易や産業を保護・助成し、富(貴金属)の蓄積を重視する。 - 名誉革命(Glorious Revolution)
1688年、イングランドでジェームズ2世の専制を排し、立憲君主制を確立した出来事。ジョン・ロックらの思想にも影響。 - 立憲君主制(Constitutional Monarchy)
君主が存在するが、実際の権力行使は憲法や議会によって制限される政治体制。イギリスが先駆。 - 啓蒙思想(Enlightenment)
18世紀欧州で展開。理性を重んじ、伝統的権威(教会・王権)への批判や個人の自由を主張。ヴォルテール、モンテスキュー、ルソーらが代表。 - モンテスキュー(Montesquieu)
『法の精神』で三権分立を提唱。国家権力の分割が自由を保証すると論じた。 - アメリカ独立戦争(American War of Independence)
1775〜1783年、北米13植民地がイギリスからの独立を求めた戦争。独立宣言(1776)で近代民主主義の先駆けとなる。 - フランス革命(French Revolution)
1789年に始まり、絶対王政や身分制を崩壊させた市民革命。人権宣言や共和制樹立など近代国家への転換点。 - ナポレオン(Napoleon Bonaparte)
フランス革命の混乱から台頭し、皇帝としてヨーロッパ大陸の大半を支配。ナポレオン法典など近代法制度にも影響。 - ウィーン体制(Concert of Europe)
ナポレオン戦争後(1815年)、ウィーン会議で定められたヨーロッパの国際秩序。列強の協調と勢力均衡が基本。 - 産業革命(Industrial Revolution)
18世紀後半、イギリスから始まった工業化の大変革。蒸気機関の利用や工場制機械工業が台頭し、社会構造が激変。 - 資本主義(Capitalism)
私的所有と利潤追求を原動力とする経済体制。産業革命によって本格的に展開し、世界経済に大きな影響を与えた。 - 社会主義(Socialism)
生産手段の共有や平等を重視する思想・運動。マルクスやエンゲルスらが理論化し、共産主義(コミュニズム)へ発展。 - 七月革命(フランス, 1830)(July Revolution)
ブルボン朝復古王政に対抗して起こった市民革命。オルレアン朝の立憲君主制が誕生し、欧州各地に革命運動を波及。 - 二月革命(フランス, 1848)(February Revolution)
1848年、パリ市民が再び王政(七月王政)を打倒し、第二共和政を樹立。ヨーロッパ各地で「諸国民の春」と呼ばれる革命運動が連鎖。 - イタリア統一(Italian Unification)
19世紀、サルデーニャ王国(ピエモンテ)を中心にカヴールやガリバルディらが活躍し、1870年にほぼ統一を達成。 - ドイツ統一(German Unification)
プロイセン宰相ビスマルクの指導で諸邦を統合し、1871年にドイツ帝国が成立。ヨーロッパの勢力バランスが変化。 - 帝国主義(Imperialism)
19世紀末〜20世紀初頭に欧米列強がアジア・アフリカなどの植民地拡大を競った体制。資源と市場の獲得が目的。 - ベルリン会議(1884〜1885)(Berlin Conference)
アフリカ分割に関するヨーロッパ列強の取り決め会議。以降「アフリカの奪い合い」が本格化。 - 三国同盟(Triple Alliance)
1882年、ドイツ・オーストリア=ハンガリー・イタリアが締結した軍事同盟。ヨーロッパの緊張を高める一因。 - 三国協商(Triple Entente)
1890年代〜1907年に成立したイギリス・フランス・ロシアの協力関係。三国同盟に対抗し、第一次世界大戦へと繋がる緊張構造が形成。 - 第一次世界大戦(World War I, 1914–1918)
ヨーロッパ列強の対立が極限化し、同盟国(独・墺など)と連合国(英・仏・露など)が総力戦を展開。戦後ヴェルサイユ体制が成立。 - ロシア革命(Russian Revolution, 1917)
第一次大戦下で崩壊寸前の帝政ロシアが二度の革命を経て、レーニン率いるボリシェヴィキが社会主義政権(ソビエト政権)を樹立。 - ヴェルサイユ条約(Treaty of Versailles, 1919)
第一次世界大戦後の対独講和条約。ドイツに厳しい賠償・軍備制限を課し、国際連盟が発足。 - ワイマール共和国(Weimar Republic, 1919–1933)
ドイツの共和制政体。第一次大戦後の混乱とヴェルサイユ体制下の苦境に苦しみ、ナチス台頭の舞台となる。 - 世界恐慌(Great Depression, 1929)
米国株式市場の大暴落から始まった世界規模の経済危機。失業・倒産が相次ぎ、各国の政治動向にも大きく影響。 - ニューディール政策(New Deal)
アメリカ大統領F.ローズヴェルトによる経済政策。公共事業や金融規制など、政府の介入で景気回復を目指した。 - 全体主義(Totalitarianism)
国家が政治・経済・社会・文化を全面統制し、個人の自由を抑圧する政治体制。ナチス・ドイツやファシスト・イタリア、ソ連スターリン体制など。 - ファシズム(Fascism)
第一次大戦後のイタリアで台頭した独裁的ナショナリズム。ムッソリーニが政権を掌握し、独裁体制を確立。 - ナチズム(Nazism)
ドイツのナチ党(国家社会主義ドイツ労働者党)が掲げた全体主義・人種主義的イデオロギー。ヒトラーが独裁を行った。 - 第二次世界大戦(World War II, 1939–1945)
ドイツのポーランド侵攻に端を発し、枢軸国(独・伊・日)と連合国(英・仏・ソ・米など)が壮絶な戦争を展開。核兵器の使用など世界史的転換点に。 - ホロコースト(Holocaust)
ナチス政権下で行われたユダヤ人・ロマなどの大量虐殺政策。アウシュヴィッツなどで600万人以上が犠牲となった。 - 大西洋憲章(Atlantic Charter, 1941)
第二次大戦中に米英首脳(ローズヴェルトとチャーチル)が共同宣言。戦後の国際平和維持と民族自決の原則をうたった。 - 国際連合(United Nations, 1945–)
第二次大戦後、国際平和と安全保障を目的に設立。安保理常任理事国(米・英・仏・露・中)に拒否権がある。 - 冷戦(Cold War, 1947–1991)
第二次大戦後、米国(資本主義圏)とソ連(社会主義圏)が対立した国際体制。核軍拡競争や代理戦争が特徴。 - トルーマン・ドクトリン(Truman Doctrine, 1947)
共産主義の拡大を封じ込めるため、米国が軍事・経済援助を実施する方針。冷戦構造の始まり。 - マーシャル・プラン(Marshall Plan)
第二次大戦後の欧州復興援助計画。米国が多額の経済支援を行い、西欧諸国の共産化防止に寄与。 - NATO(北大西洋条約機構, 1949)
米国を中心とした西側諸国の軍事同盟。ソ連・東欧のワルシャワ条約機構(1955–1991)と冷戦を構成した。 - 中華人民共和国成立(1949)
中国共産党(毛沢東)の勝利により建国。それまでの中華民国政府は台湾へ移転し、国共内戦後の分断状況が生まれる。 - 朝鮮戦争(Korean War, 1950–1953)
北朝鮮(共産圏)と韓国(西側陣営)の軍事衝突。米中が介入し、冷戦の代理戦争化。休戦状態が続く。 - 第三世界(Third World)
冷戦下で米ソ両陣営にも属さないアジア・アフリカ・ラテンアメリカの新興独立諸国を指す。 - 非同盟運動(Non-Aligned Movement)
冷戦期にインドのネルーやユーゴスラビアのチトーなどが中心となり、米ソどちらにも組みしない外交方針を掲げた。 - スエズ危機(Suez Crisis, 1956)
エジプトのナセル大統領がスエズ運河を国有化宣言し、英仏・イスラエルと対立。米ソの介入で植民地体制の終焉が加速。 - キューバ危機(Cuban Missile Crisis, 1962)
ソ連のミサイル基地設置に対し、米国が海上封鎖で対抗。核戦争寸前まで緊張が高まり、両国が譲歩して回避した。 - デタント(Détente)
1970年代に米ソ間で進んだ緊張緩和。戦略兵器制限条約(SALT)などが締結され、一時的に軍拡競争が落ち着く。 - ベトナム戦争(Vietnam War, 1960年代–1975)
米国が南ベトナムを支援し、北ベトナム(共産陣営)と激しい戦争。米国内の反戦運動や世界的反響が大きかった。 - 石油危機(Oil Crisis, 1973 & 1979)
中東戦争などを契機とするOPECの原油価格引き上げ。先進諸国の経済停滞(スタグフレーション)を引き起こした。 - ソ連崩壊(Dissolution of the Soviet Union, 1991)
ゴルバチョフの改革(ペレストロイカ)で経済混乱や民族独立運動が活発化。最終的にソ連が解体し、冷戦が終結。 - 中国改革開放(Reform and Opening-up, 1978–)
鄧小平の指導下で社会主義市場経済を導入し、経済成長を推進。対外開放や経済特区設置などを実施。 - EU(欧州連合, European Union)
1993年、マーストリヒト条約発効により正式発足。欧州共同体(EC)から発展し、域内統合を目指す。 - 湾岸戦争(Gulf War, 1990–1991)
イラクのクウェート侵攻に対し、多国籍軍(米主導)が軍事介入。大量破壊兵器問題や中東情勢の不安定化に繋がる。 - ユーゴスラビア紛争(Yugoslav Wars, 1990年代)
冷戦終結後、旧ユーゴスラビア連邦の民族・宗教対立が激化。ボスニア・コソボ紛争など大規模人道危機が発生。 - 9.11同時多発テロ(September 11 attacks, 2001)
アルカイダによる米国での大規模テロ。対テロ戦争の名目でアフガニスタン侵攻・イラク戦争へと繋がる。 - アラブの春(Arab Spring, 2010–)
チュニジアを皮切りに中東・北アフリカ各国で市民運動や政権打倒が相次ぐ。民主化の動きと内戦勃発が混在。 - グローバリゼーション(Globalization)
20世紀末以降、経済・文化・情報が国境を越えて世界的に統合・相互依存する動き。ITの普及が加速。 - WTO(世界貿易機関, World Trade Organization, 1995–)
貿易自由化の推進と紛争解決を担う国際機関。GATT(関税及び貿易に関する一般協定)から改組された。 - BRICS(ブリックス)
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興国グループ。21世紀の世界経済や国際政治に影響力を拡大。 - 気候変動問題(Climate Change)
産業革命以降の温室効果ガス増加による地球温暖化。パリ協定(2015)など国際的対応が課題。 - 国際テロリズム(International Terrorism)
国際社会を震撼させる超国家的なテロ活動。アルカイダやISなどの組織が21世紀の紛争の新たな焦点に。 - パンデミック(Pandemic)
世界規模で蔓延する伝染病。スペイン風邪(1918–19)や新型コロナウイルス(2019–)など、人類史に大きな影響を及ぼす。
おわりに
以上、先史時代から現代史まで、世界史を俯瞰するうえで理解しておきたい100のキーワードを簡潔にまとめました。これらの用語を切り口として、さらに掘り下げて学んでいくことで、広大な世界史の流れや地域間の相互関係、社会・経済・文化の変遷をより深く理解できるでしょう。学習や調べものの際にぜひご活用ください。