「非言語コミュニケーションについての理解は、個人を理解することに役立つ」

「非言語コミュニケーションについての理解は、個人を理解することに役立つ」

 コミュニケーションの手法として最もよく使用されるのが「言葉」であるが、言葉以外にはどのような方法でコミュニケーションをとっているのか。本論文では、言葉以外のコミュニケーションについて取り上げ、それらの知識がどのようなことに役立つか考察する。

 言葉以外のコミュニケーション、すなわち「非言語コミュニケーション」と言われるものには、表情、視線、身振り、さらに対人距離などが存在する。まず、視線について取り上げる。人の目は、白目と黒目の対比がはっきりしており、多少距離があっても、相手の目がどこを向きどのように動いているのか、観察しやすくなっている。そのため、重要なコミュニケーションツールの1つとなるのである。自然を相手に対する興味や関心、敵意などを伝える。他には、言葉をかわさずに、目配せだけで意思を伝え合うこともできる。また決意の強さや熱意を伝えることもできる。ジェスチャーは、発言内容を補足したり、発言の代わりを果たすことによって、言葉のメッセージをより濃いものにする。次に、対人距離について取り上げる。例えば、新型コロナウィルスの流行下、対人距離に注目されるようになった。似たようなもので、心理学用語には「パーソナルスペース」というものが存在する。パーソナルスペースにおける「公衆距離」は360cm以上であり、これは一方向的なやりとりを行う場合の距離である。そして、フォーマルな関係や用件を伝える場合の距離である「社会的距離」は120cmから360cmである。これが新型コロナウィルスの流行下に言われていた「ソーシャルディスタンス」または「フィジカルディスタンス」のことである。さらに、「個体距離」と呼ばれるプライベートな関係や用件を伝える場合の距離は40cmから120cmである。最も距離が近い「密接距離」はごく親密な間柄での距離感であり0から45cmである。このパーソナルスペースに対しての不適切な侵入は社会的に望ましくないとされる。警戒している人物が近くまで接近してきたら、人間は不快感や不安を感じてしまう。元来、警戒していない人物であっても、これが警戒する理由になる可能性も否定できない。その他には、表情や視線、身振り以外にも「身に付けるもの」によって、個人の生活スタイルや価値観などを伝えることもある。好きなアニメのグッズを身に付けることで、自分はその対象に興味があると言うことを外界にアピールすることができる。アピールすることにより、新たなコミュニティーに参加したり、仲間ができる可能性もある。

 このように人間は、言葉以外にも様々な方法で自己表現をしている。これらを有効活用したり、非言語コミュニケーションについて理解を深めることで、個人に対する理解を深め、その人物がどのような人物かを推測することに役立つと言える。

参考文献

・坂口菊恵 心理学辞典 2020 274-276

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