労働時間について~着替える時間も労働時間!?

労働時間について~着替える時間も労働時間!?

 大学生になりアルバイトを始めた人も多いだろう。しかし、給与明細の労働時間の項目をしっかりと見たことはあるだろうか。その月の手取り金額ばかりに注目してしまいあまり意識して見たことない人が多いのではないだろうか。実は、この項目はとても大切であるのでしっかりと見てもらいたいのだ。では、どれが労働時間になるのかの疑問についても解説する。

 労働時間は、労働基準法では「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されている。簡単に言えば職場において働いている時間のことである。しかし、ここでいくつかの疑問が生じてしまう。「働いていない時間はどう扱うのか」という疑問である。ここでは、3種類に分けてそれぞれが労働時間にあたるかどうか解説する。まずは、休憩時間である。これは指揮命令下に置かれているとは言えないので労働時間ではない。休憩時間は自由に使うことができるのが最大の理由である。次に手待ち時間である。聞きなれない人もいると思うので解説すると、労働時間内において、作業中ではないものの、指示があればすぐに従事できるよう待機している時間のことを指す。*1イメージするならばコンビニでバイトをしているが客がいなくて特にほかの仕事もないときである。これは労働時間にあたる。例えば先ほどの例で例えるならば暇と思っていても客が来店することが十分考えられる。その場合はすぐに対応しなければならない。これらのことからも労働時間にあたる。そして、最後に制服などの着替える時間である。これは、使用者の指揮命令下に置かれていないため労働時間ではないと思われるかもしれないが、労働時間として扱うのが一般的だ。有名な判例も存在する。三菱重工長崎造船所事件である。この会社は船舶等の製造・修理等を業とし、従業員らは、その業務に従事していた。従業員らは、始業前に更衣(保護具、工具等の装着)を済ませ体操をする所定の場所にいること、副資材や消耗品などの受け渡しを行うこと、粉じん防止の散水すること等が義務付けられていた。従業員らは、これらの始業時間前の時間も労働時間であるとし、これらの行為に要した時間について、割増賃金の支払を求めて提訴し、裁判所は、これらの時間は労働時間に該当すると判断した。*2この判例から分かるように始業前に更衣等を義務付けられていたため労働時間と判断されたのである。なので、制服などがあるアルバイト先ではその制服に着替えて働かなければならないと規定されていれば労働時間にあたるのである。

 このように、どのような時間が労働時間に当たるかどうかを説明した。休憩時間を除いた時間が労働時間と認識しても差し支えないはないだろう。また、残業代も1分単位で支払う必要がある。これは切り捨てている会社も多い。自分のアルバイト先の会社がどうなっているかを確認するためにも一度給与明細書をじっくりと見ることをおすすめする。

*1 手待ち時間は労働時間に該当する?休憩時間と区別しましょう https://ak4.jp/column/idle-time-working-time/

*2 労働基準判例検索 三菱重工業長崎造船所(一次訴訟・会社側上告)事件https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07520.html

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