災害時のメンタルヘルスは、危険な出来事が個人やコミュニティに与える心理的・感情的影響に焦点を当てた、成長中の研究分野です。災害メンタルヘルスの研究から、影響を受けた人々の心理的な健康は、レジリエンス能力の開発によって改善されることが分かっています。本稿では、災害時のメンタルヘルスにおけるレジリエンスの役割と、この分野の改善への示唆について説明します。
近年の災害は、自然災害や人為的災害に対する地域社会の脆弱性、また、そのような災害による身体的、社会的、心理的な被害を浮き彫りにしている。これらの出来事は、多くの人々に心的外傷を与え、身体的・心理的ダメージを与え、その回復には時間がかかると言われている。
災害時のメンタルヘルスは、一般的にトラウマとなる出来事への対応と考えられていますが、個人が感情を効果的に管理し、環境に適応するためには、苦痛に対処するレジリエンス能力が有益であることが研究により明らかにされています。レジリエンスとは、困難な状況から「立ち直る」能力であり、多くの場合、社会的、心理的、精神的、身体的な支援の組み合わせが必要です。
レジリエンスとは複雑な概念であり、複数の要因が相互に作用しあって個人をさらなる被害から守り、災害前の機能水準に回復させるものだからである。これらの要因には、感情のコントロール、社会的能力、問題解決能力、自己効力感、感情的知性が含まれる。これらはすべて、感情の維持、ストレスの管理、トラウマからの回復に不可欠なものであると考えられている。
さらに、認知行動療法（CBT）、問題解決療法（PST）、マインドフルネスに基づく手法などの戦略を用いることで、より強いレベルのレジリエンスを開発できることが研究で示されています。これらの戦略は、個人が自身の感情的な反応を認識し、調整することを可能にし、逆境に直面しても柔軟で創造的であるといったレジリエンススキルを発達させることができます。これらの戦略を実践することは、個人の自尊心を高め、困難な状況に対処する自分自身の能力を信じることにつながります。
また、レジリエンス戦略の使用は、心的外傷後ストレス障害（PTSD）、および不安やうつ病などの他の心理状態の症状を軽減するのに役立ちます。また、レジリエンス戦略は、災害後のチームの結束力、社会資本、コミュニティの福祉を向上させるのに有効であることが研究により示唆されています。
本稿では、災害時のメンタルヘルスにおけるレジリエンスの役割と、困難な状況に対処する個人の能力を高めるために用いることができる様々な戦略について述べてきた。研究により、レジリエンス能力はPTSDやうつ病などの様々な心理状態の症状を軽減するのに役立ち、またチームの結束力や社会関係資本を向上させることができると示唆されています。
