タイトル：日本の「弱者」を支えたもの―仁、道、義、礼の考え方を中心に―

はじめに

歴史とは過去を研究・分析することであり、今日の社会を理解するために必要不可欠なものである。社会は人々がそれぞれの役割を果たし、共同で成り立っている。その中で、力に勝てず疑われ、差別される「弱者」と呼ばれる人々が存在することは、歴史においても現代においても変わることはない。今回は、日本の歴史の中で、弱者を支えた思想について考察する。

仁・道・義・礼とは何か？

日本には、四つの思想がある。それは、仁（じん）、道（どう）、義（ぎ）そして礼（れい）である。仁とは、人情深く思いやりの心を持つこと、道とは、物事の本来の姿や本質を理解すること、義とは、正しい行いをすること、礼とは、人間関係において相手を敬う態度や行動を取ることである。これらの思想は、古代から現代まで日本の社会に根付いている。

弱者の社会的地位

弱者とは、力に勝てず周囲に疑われる、歴史の中で発言力が弱い人々である。日本は、男尊女卑といった性別による差別が存在した時期がある。中国や朝鮮からの文化の影響を受け、地主制や職業別の身分制度が確立され、特に農民は社会的弱者とされた。また、江戸時代になると、武士や町人階級による身分制度が確立された。農民は社会的地位が低く、年貢や税金の負担が大きく重たい労働に従事していた。また、女性も男性に比べて社会的地位が低く、教育や経済的自立が難しい状況が続いた。

弱者を支えた思想

日本において、弱者を支えた思想には、仁、道、義、礼の四つの思想がある。まず、仁についてである。仁とは、思いやりの心であり、仁に基づく考え方は、人々の良心に訴えかけ、弱者を支える力となる。例えば、平安時代に活躍した貴族・伴蒨太夫は、「人心を得れば天下をも得られる」という言葉を残している。これは、人々の心に訴えかけ、人を惹きつける仁の精神を自覚していたということである。

道について言えば、物事の本質を理解することは、弱者を支えることに繋がる。平安時代の儒者・藤原道長は、「内容を把握していない言葉遣いは軽薄であり、本質を見分けられない人間は、使えぬ人間である」と述べている。これは、物事を理解しなければならないことを捉え、それを自分自身や周りの人々に伝えることが、弱者を支えることに繋がるということを示唆している。

義について言えば、正しい行いをすることは、弱者を守るための基盤である。平安時代の哲人・源処光は、「高貴な人物は、品行が優れている。中庸とは、正しい選択をすることであり、その範疇は礼儀からやや立ち上がっている」と述べている。この言葉は、義を守ることが、高貴難波蝦夷・後ろ姿を描いた平安時代の絵巻物（「源氏物語絵巻」）や、文學や語り物などの形で広く伝えられた。その意味は、正しい行いをすることが、仁や道を実現する上で重要であるということである。

最後に、礼について言えば、人間関係において必要な儀式や行為を行うことは、弱者を社会から排除するのを防ぐことに繋がる。平安時代には、親と子の間での礼儀を守るために、門前の像を立て、子供たちに儀式や行為を正しく行うように教育する場があった。また、江戸時代には、「お国自慢」として、田舎なら実家の故郷、専門医なら治療に使われる地域を巡る儀式があった。これらの礼儀は、弱者でも参加することができ、社会からの排除を防ぐことができる。

まとめ

以上のように、日本には仁、道、義、礼といった思想がある。これらの思想は、弱者の支援に繋がる。仁によって人々の良心に訴え、道によって物事の本質を理解し、義によって正しい行いを実践し、礼によって人間関係を保ちながら、社会においても弱者を支えることができる。歴史を研究することで、自分たちが居る現代社会をより洞察することができるだけでなく、現代社会においても有効なアイデアや考え方を見出すことができ、今後の社会にとって必要不可欠なものとなっている。