「日本の格差問題 ―貧困層の増加とその原因―」
日本は、経済発展が進んだ結果、高度な技術や豊かな文化が育まれ、国民生活も大幅に向上した。世界的に見ても、教育水準や医療レベルが高く、公共施設が整備されている日本は、多くの人々から憧れの国として見られている。しかし、一方で日本にはとても深刻な社会問題が存在していることも事実であり、その一つが格差問題である。
2019年11月に公表された内閣府の調査報告によると、日本における貧困層の割合は、全世帯の16.3%にも及ぶといわれている。これは、年間の収入が約200万円以下の家庭人口が貧困層と定義されているため、日本においては非常に深刻な問題である。
そこで、本レポートでは、この格差問題の背景と、貧困層の増加につながる要因について考察したい。
まず、格差問題の背景には、日本の経済成長があると言われている。過去の高度成長期には、日本経済が急速に発展し、国民生活もまた向上した。その影響で、日本における一人あたりの収入や消費水準が上昇し、高級品や海外旅行といったものも一般に身近なものとなった。しかし、この成長が経済的な格差を生む原因となることがある。
格差問題につながる要因として、まず挙がるのが雇用形態の多様化である。近年、多様な雇用形態が増えており、正社員が減少し、アルバイトや派遣社員、パートタイマーなど非正規雇用が増えている。それに伴い、就業環境の悪化や、社会的保障の不充分化が生じ、非正規労働者やフリーターといった若者たちが貧困に陥ってしまうことがある。
また、格差の問題には、教育格差も深く関わっている。偏差値によって大学入試が行われ、その結果、専門職への進路が限られ、就職先も限られるため、高学歴者と低学歴者の間の収入差が拡大している。それに加え、教育機会の格差が問題になっており、経済的な事情によって、教育を受けられない子供が増加する一方で、大学進学率の向上によって、教育費の負担が大きい家庭もあるため、教育格差は深刻な問題である。
最後に、格差問題の解決に向けて、どのような取り組みが必要であるかについて考察したい。まず、政府が積極的に貧困層支援策を実施することが必要である。現在でも、生活保護や住宅支援、児童手当といった支援策があるが、政策そのものの改善が求められている。また、教育格差を解消するため、教育費の免除制度を導入したり、就学支援金等の教育支援制度を充実させることも不可欠である。
さらに、企業や社会全体で非正規労働者に対する待遇改善を進めることも重要である。これまで非正規労働者については、待遇そのものが悪いといった問題が指摘されているため、事業主が意識改革を進めることが求められている。また、労働者に対する社会保障制度の改善にも注力する必要がある。
以上より、日本における格差問題について、背景や原因、解決策について考察してきた。社会全体での取り組みが求められるとともに、個人や企業も、自らが持つ資源を活かし、貧困層・格差問題の解決に対して積極的な姿勢を取ることが求められている。