【日本の農業の歴史】
日本において農業は非常に古くから行われていた。縄文時代にはすでに稲作が行われており、弥生時代には鉄器の登場により農業技術が進歩した。そして古代には稲作が発展し、飛鳥時代には、『日本書紀』に登場する稲作の神である国常立尊が祀られるようになった。
中世になると、天皇や貴族が農地を所有するようになり、現在の集落の形態が整えられる。また、平安時代には律令制度が整備され、そのもとで農業が発展した。10世紀以降、蝦夷地などへの開発が進み、豊かな土地が生まれた。
江戸時代に入ると、幕府の施策により、農業は発展した。同時に、幕府は農村人口を制限する政策をとり、小作制度を整備する。これによって、土地を所有する大名が直接農業を行わなくても収穫を得ることができるようになり、農民は大名に対して税金や年貢を負担するようになった。
明治時代になると、農業は廃藩置県によって地方自治体の管理下に置かれ、茶、煙草、蚕、養蚕などの特産品が生産されるようになった。また、明治時代には、西洋から進んだ技術導入が進んだことで、農業は大きく変化した。たとえば、畦畔の整備、灌漑技術の改良、化学肥料の使用などが行われ、生産性が向上した。
昭和時代には、政府の農業政策により、農業は安定した発展を遂げた。例えば、戦後の『農林水産業安定法』によって、農業者の所得を保障するとともに、資本財政の間接的な支援など多岐にわたる政策が導入された。また、1960年代には、高度経済成長を背景に、農産物の需要が高まり、農業の生産性向上が進んだ。さらに、1970年代以降、食料品のセーフティーネットとして農業の役割が見直され、農業政策の転換が進んだ。
現在では、環境にやさしい農法が推奨され、農業を取り巻く環境が大きく変わりつつある。また、国内外からの輸入により、激しい競争が行われている現状もあるが、日本の農業は、今後も変化しつづけるであろう。