芸術とは、美術、音楽、演劇、文学、舞踊などの多様な分野を含む美的な表現の総称である。人類は古代から美を求め、芸術に携わってきた長い歴史がある。本稿では、芸術の歴史について概説する。

古代エジプト
紀元前3千年紀から始まる、古代エジプトの美術は、神々への崇拝と共に文化として発展した。ピラミッド、スフィンクス、彫刻、壁画などの作品が残されている。多くの作品は、生きている人物のような表情と身体のディテールを描き出し、静的で象徴的な表現に特徴がある。

古代ギリシャ
古代ギリシャでは、美的観念に基づく芸術が発展した。アテネのアクロポリス、パルテノン神殿がその代表作として挙げられる。美の追求に徹底して取り組んだ分野の一つが、彫刻芸術であり、ピタゴラス学派が形式的な観念を、ソクラテス学派が人間性や哲学的な内容を、それぞれ表現した。

古代ローマ
古代ローマ芸術は、古代ギリシャ芸術を模倣して発展した。ローマ建築の代表作は、コロッセオ、パンテオン、ラ・トラヴェルタ美術館など。カール・グスタフ・ユングによれば、ローマ芸術は、古代ギリシャ芸術と異なり、宇宙と人間との一体性を追求する芸術であり、ローマ帝国という国家としての意志が表現されているとされている。

中世ヨーロッパ
中世ヨーロッパ芸術は、キリスト教主義として、宗教的な美的追求が芸術に反映された。ゴシック建築の代表作は、パリのノートルダム大聖堂やシャルトル大聖堂など。また、聖書の物語や聖人伝といった主題を題材にした美術品が製作された。

ルネサンス
14世紀から16世紀にかけて、イタリアで起こった芸術革命がルネサンスである。これは、古代ギリシャ・ローマ期の芸術復興と、宗教にとどまらず人間的な思考を追及する「人間中心主義（ヒューマニズム）」が進展していったことによる。ルネサンス期の代表作は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、ミケランジェロ・ブオナローティの「ダヴィデ像」、ラファエロ・サンティの「アテナイの学堂」など。

バロック
17世紀前半にヨーロッパで興ったバロックは、素材が豊かで装飾的なスタイルを特徴とする。宗教美術においては、多くのヨーロッパの教会にバロック美術が採用され、大幅な発展を遂げた。

印象派
19世紀にフランスで起こったムーブメントで、自然描写と光や色彩表現に注目した美術運動。代表作は、クロード・モネの「印象・日の出」、エドゥアール・マネの「昼食の後」。現代の芸術に大きな影響を与えた。

ポップアート
1950年代から60年代にかけてアメリカで起こったPopArtは、日常生活やマスメディア文化にフォーカスした芸術運動である。代表作は、アンディ・ウォーホルの「キャンベルスープ缶」、ロイ・リキテンスタインの「Whaam!」。

以上、芸術の歴史の概要を様々な時代を経て振り返ってきた。芸術作品は、当時の時代背景や社会状況と密接に結びついており、ある意味で人々の精神的・文化的な生活の指標ともいえる。