【序論】
本論文では、ベラルーシにおける政治・経済・文化の変遷と現状について調査し、考察する。20世紀初頭にはロシア帝国の一部として存在していたベラルーシは、第一次世界大戦後にポーランドとの間で領土争いが起こり、ポーランドに併合された。しかし、第二次世界大戦中にはナチス・ドイツの占領下に置かれ、多数のユダヤ人虐殺が行われた。戦後、ソビエト連邦に編入され、1986年にチェルノブイリ原発事故が発生するなど苦難の歴史を経て、1991年に独立を果たした。現在、ベラルーシはルカシェンコ大統領率いる一党支配下にあり、政治的には強権的な体制が続いている。経済においては、国有企業が主導する社会主義的な体制が残っており、国民所得も低水準である。また、文化的にはロシア文化への傾斜がある一方で、昨今では若い世代の中にベラルーシ民族主義の気運も高まっている。本研究では、こうした背景を踏まえ、現在のベラルーシの政治・経済・文化について考察することで、同国の未来についての示唆を得ることを目的とする。
【本論】
ベラルーシの政治においては、2000年以降、ルカシェンコ大統領による一党支配が続いている。過去の選挙では不透明な票の集計などが指摘され、国内外から批判を浴びることとなった。しかし、ルカシェンコ政権は反対勢力を弾圧し、国内における言論・報道の自由も制限されているため、この状況を変えることは容易でない。経済においては、国有企業が主導する社会主義的な体制が残っており、市場経済の発展が進んでいない。一方で、外国企業を誘致するなどの取り組みもあるが、十分な成果を出しているとは言い難い。また、国民所得が低水準であることも経済の課題の一つとなっている。文化的には、ロシア文化への傾斜が見られる一方で、近年は若い世代でベラルーシ民族主義の気運も高まっている。これはロシアとの関係を考える上で重要な要素となっており、今後のベラルーシの展望を考える際には注目が必要である。本研究により、ベラルーシにおける政治・経済・文化の問題点を把握し、今後の改善の方向性を模索することができると考えられる。
【結論】
本論文からわかるように、ベラルーシは長い歴史の中で多くの苦難を経験してきた国である。現在でも政治的な強権的な体制が続いており、経済的にも社会主義的な体制が残っているため、国民所得が低水準であることが課題である。一方で、若い世代の中にはベラルーシ民族主義の気運が高まっていることから、今後のベラルーシの未来には注目が必要である。本論文が示唆するのは、現在のベラルーシの政治・経済・文化に対する分析が、同国の未来を展望する上で重要であることである。