【序論】
近年、核兵器拡散の問題が顕著になっています。核兵器を持つ国々はその脅威を背景に、保有する核兵器を廃棄することのリスクを減らすために、核兵器を保有し続けることを主張しています。しかし、核兵器が使用されれば、国際社会全体に深刻な被害をもたらすことは疑いありません。こうした現状を背景に、核兵器削減交渉は非常に重要な意味を持っています。 本論文では、1991年に調印された「戦略兵器削減条約：START I」に着目して、その成果と課題を分析します。START Iは、アメリカとロシアの間で交わされた国際条約です。この条約では両国が保有する核兵器の数を大幅に削減することが規定され、国際的な核兵器の廃棄を促すことに貢献しました。しかし、核兵器の全廃が達成されていない現状があり、次なる核兵器削減に向けた課題が存在しています。本論文では、その課題についても考察していきたいと思います。
【本論】
まず、START Iが結ばれた背景には、冷戦期においてアメリカとロシアが相互に軍備拡張を進めたことがあります。このような状況は両国の相互不信を招き、核戦争の危険性を高めました。そこで、START Iは両国の核兵器の種類や数を制限することで、核戦争のリスクを低下させることを目的としました。 では、実際にSTART Iはどのような成果を残したのでしょうか。まず、この条約によりアメリカとロシアが保有する核弾頭の数はそれぞれ約1万5000発から約6千発へと大幅に削減されました。また、条約に署名した他の国々も、核兵器の削減に積極的に取り組むようになりました。このような成果は、核兵器の拡散を防止する上で非常に重要なものであり、新たな核戦争の危険性を低下させることにつながりました。 しかし、START Iにはいくつかの課題があります。まず、この条約はアメリカとロシアによる相互削減に限定されており、他の核保有国には強制力がありません。また、条約における核兵器の定義が明確ではなく、新たな技術や兵器に対応できるように改定が必要な場合があります。さらに、核兵器の保有そのものが問題視される中で、次なる核兵器削減の交渉を進めるためには、アメリカとロシア以外の核保有国も巻き込む必要があります。 以上のような課題があるものの、START Iは核兵器削減交渉の重要性を示す成功例として、今後の国際社会においても重要な位置を占めるでしょう。今後は、新たな条約や国際的な協力体制の確立により、核兵器を完全に廃絶することをめざすことが求められます。
【結論】
本論文の結論として、核兵器の拡散問題が解決されない中、核兵器の削減交渉は非常に重要であるということが指摘された。START Iは、アメリカとロシアの核兵器削減に一定の成果をもたらしたが、全廃が達成されたわけではなく、次のステップに向けての課題があることが示唆された。今後も、交渉ルートを通じて次なる核兵器削減を進める必要があり、国際社会全体が協力して取り組むことが求められると論じられた。
