【序論】
この論文では、外発的動機づけがどのような効果をもたらすかという問題を、自己決定論の視点から検討する。外発的な動機づけとは、外部からの報酬や評価などの影響を受けて行動することを指す。自己決定論とは、人間の自己実現のためには、自己決定的な行動が必要であり、主体的な取り組みが重要であるとする理論である。本論文では、外発的動機づけがもたらす効果とその限界を自己決定論の視点から検討することで、行動における自己決定的な側面や主体性の重要性が明らかになることを目指す。また、実際の教育現場での教育方法等についても検討し、より有効な学習環境の確立に繋がることを期待している。
【本論】
自己決定論の視点から見た外発的動機づけの効果については、既存の研究によって複数の観点から検討されてきている。まず、外発的動機づけが行動の成果に与える影響については、一般的に短期的な成果をもたらすが、長期的な継続性に欠けることが示されている。例えば、運動において外部からの報酬があった場合、その運動量は一時的に増加するものの、報酬がなくなった後に元のレベルに戻ることが多いという研究がある。これは、外発的動機づけが行動そのものに対する動機づけではなく、報酬や評価に対する動機づけであるためだと考えられている。 一方で、外発的動機づけが持つ限界についても指摘されている。外部からの報酬や評価がない場合には行動がされないというケースも多く、主体性や意欲が低下することが報告されている。そのため、自己決定論の視点では、外発的動機づけに対して、自己決定的な動機づけが必要であるとされている。自己決定的な動機づけとは、自己の欲求や価値観、興味などに基づき、自発的に行動することを指し、行動の持続性を高める効果があると考えられている。 教育現場においても、外発的動機づけを重視した教育方法は一般的である。しかしながら、行動の持続性を高めるためには、生徒が自己決定的に行動することを促す教育方法が重要である。例えば、授業の内容や方法を生徒の興味やニーズに合わせたものにすることが挙げられ、これにより生徒の自発性を引き出すことができると考えられている。また、フィードバックの提供や学習目標の設定を生徒自身が行うことで、自己決定的な行動につながることが知られている。 以上のように、自己決定論の視点から見た外発的動機づけの効果と限界を検討することは、行動における自己決定的な側面や主体性の重要性について考える上で有用であり、教育現場においてもより有効な学習環境の確立につながるであろう。
【結論】
自己決定論の視点から行動における自己決定的な側面や主体性の重要性を明らかにすることを目的として、本論文では外発的動機づけがもたらす効果とその限界を検討した。その結果、外発的動機づけが持続的な行動につながらないことや、内発的動機づけを阻害することが示された。これらの問題を解決するためには、個人の主体的な取り組みや自己決定的な行動が重要であることや、教育現場での教育方法の改革が必要であることが指摘された。よって、今後の学習環境の改善や個人の自己実現のためには、外発的動機づけを内発的動機づけに転換するための対策が必要であり、そのためには教育現場での教育方法の再考や改善が必要であることが、本論文の結論である。
