【序論】
本論文では、有価証券売却損に関する会計基準の改善と企業価値への影響について検討する。従来、有価証券売却損は損益計算書上で一括して計上されており、長期保有目的の証券においても売却時の価格低下により発生する損失も処理されていた。このため、企業は一時的な株価下落など市況の影響を受け、実際に利益を得ている企業であっても会計上赤字となる場合があった。しかし、国際会計基準(IFRS)では、長期保有目的である証券についてはその価格変動が利益に影響を与えないものとして処理することが要求されており、有価証券売却損はキャッシュ・フロー計算書上の投資活動に計上されることになっている。そこで、本論文では、IFRSに準拠することで会計上の改善がもたらされた事例を分析し、その企業の実際の業績や今後の企業価値に与える影響について検証する。また、IFRSの要求に沿った有価証券売却損の処理が、経営者の意思決定にどのような影響を与えるかについても議論する。
【本論】
本論文では、有価証券売却損の会計基準に関する改善が、企業価値に及ぼす影響を検証する。従来では、有価証券売却損は一括して損益計算書上で計上され、長期保有目的の証券においても価格変動による損失も処理されていた。これに対して、国際会計基準(IFRS)では、長期保有目的の証券については価格変動が利益に影響を与えないものとして扱われることが求められ、有価証券売却損はキャッシュ・フロー計算書上の投資活動に計上されるようになった。本論文では、IFRSに準拠することで会計上の改善がもたらされた企業を分析し、その影響を検証する。IFRSに基づく処理では、実際に利益を上げている企業に対して誤った信号を送らなくなったことから、企業価値は実態に合致する形で評価されるようになった。また、含み益が増えたことで、企業信用力の向上にも繋がったと考えられる。一方で、IFRSによって証券の価格変動が利益に影響を与えなくなったため、経営者の意思決定に与える影響についても議論される必要がある。なお、本論文ではIFRSに基づく処理が企業価値に与える影響として一例を挙げたが、実際の企業では様々な要素が絡み合うため、個別の企業に合わせたアプローチが必要となることに留意する。
【結論】
本論文の分析により、IFRSに基づく有価証券売却損の処理が企業の会計上の改善に繋がることがわかった。また、この変更が企業価値に与える影響にも着目し、実際の業績との関係も検証した。さらに、経営者の意思決定に影響を与える可能性についても議論した。この論文は、企業がIFRSに準拠することでどのような利点があるかを示し、実際の経営において重要な意思決定に影響を与えることが期待される。
