【序論】
本論文は、W・D・ロスの倫理学における「責任」と「正当化」という概念間の関係を探究する。ロスは倫理的判断を行う際に、個々の義務を重んじるべきであると主張している。彼の倫理学は、義務の重要性を個別の状況と関連付け、適切な判断を下すためのルールや原則を提供する。しかし、ロスはまた、責任の重要性にも注目しており、倫理的な行動には責任を負うべきであり、その責任を正当化する理由が要求されるとも述べている。さらに、ロスは倫理的責任には間接的な影響があると主張しており、倫理的な判断をすることによって、自己および他者に対して責任を果たすことができると主張している。本論文では、ロスの倫理学の中で「責任」と「正当化」がどのように関連しているのかを明らかにし、その関係が倫理的な判断や行動に与える影響について考察する。これにより、ロスの倫理学が個々の責任と普遍的な正当化の必要性の両方を提唱していることが明らかになるだろう。
【本論】
ロスの倫理学における「責任」と「正当化」という概念は密接に関連している。まず、ロスは倫理的判断において、個々の義務を重視するべきだと主張している。彼は倫理的な行動には、個別の状況に即した義務を果たすことが求められると考えている。この観点から見ると、責任は倫理的な行動において極めて重要な要素である。 ただし、ロスは責任のみならず、その責任を正当化する理由の存在も重視している。ロスによれば、個別の状況においては、個々の義務を果たすことが必要であるが、それに加えて、その行動がなぜ正当化されるべきなのかという理由も考慮されなければならない。つまり、倫理的な行動には、単なる責任だけでなく、その責任を正当化するための理由が要求されるということである。 さらに、ロスは倫理的責任が間接的な影響を持つと主張している。倫理的な判断や行動をすることによって、個人は自己および他者に対して責任を果たすことができると考えているのである。倫理的な判断を通じて、自己の信念や価値観に基づく行動をとり、他者に対して責任を果たすことによって、個人は社会的な影響を及ぼすことができると述べている。 以上のように考えると、ロスの倫理学における「責任」と「正当化」という概念は、密接に関連しており、倫理的な判断や行動に深い影響を与えていると言える。個々の責任を重視しつつも、その責任を正当化するための理由を考慮し、倫理的な判断をすることによって、個人は自己および他者に対して責任を果たすことができるのである。ロスの倫理学は、個々の責任と普遍的な正当化の必要性の両方を提唱していることが明らかになるだろう。
【結論】
本論文の結論は、W・D・ロスの倫理学において「責任」と「正当化」の関係が密接であり、倫理的な判断や行動に大きな影響を与えていることが示された。ロスは個々の義務を重視し、倫理的な判断において重要であると主張している。また、彼は責任の存在にも言及しており、倫理的な行動には責任が伴い、その責任を正当化する理由が求められると述べている。さらに、ロスは倫理的責任が間接的な影響を持つとも主張し、倫理的な判断をすることによって自己や他者に対して責任を果たすことが可能とされている。本論文の考察により、ロスの倫理学は個別の責任と普遍的な正当化の両方を提唱していることが明らかになるだろう。
