【序論】
本論文では、村上春樹の小説『阿弥陀堂だより』における物語性と人間性の探求に焦点を当てる。本作は、主人公である葉山が大学時代の親友から送られてくる謎めいた手紙を通じて織り成す物語である。物語性の探求においては、謎めいた手紙の内容やその背後に潜む意味を読み解くことが重要となる。また、手紙の差出人が葉山の過去の出来事に関連していることも物語性の一部として考える必要がある。さらに、人間性の探求においては、葉山が手紙の中で自身の心の内を探索し、成長していくプロセスが描かれている。葉山の孤独や欠落感、そして人間関係の複雑さが物語に深みを与えている。本論文では、村上春樹が独特の文体や象徴的な要素を駆使して、物語性と人間性を繊細に描写している点に着目し、その意義を明らかにする。
【本論】
In this main part of the paper, the focus will be on the exploration of the narrative and human elements in Haruki Murakami’s novel “Amita-do Dari.” The story revolves around the protagonist, Hayama, who receives mysterious letters from his college friend. In terms of the narrative exploration, it is essential to decipher the content of the enigmatic letters and unravel the underlying meanings. Additionally, the connection between the sender of the letters and Hayama’s past events should be considered as part of the narrative. Furthermore, the exploration of human elements in the novel depicts Hayama’s process of self-discovery and growth as he delves into his innermost thoughts through the letters. The themes of loneliness, a sense of emptiness, and the complexity of human relationships add depth to the story. This paper will examine how Murakami employs his unique writing style and symbolic elements to delicately portray the narrative and human elements. It will seek to reveal the significance of these elements in the novel.
【結論】
本論文では、村上春樹の小説『阿弥陀堂だより』において物語性と人間性が織り込まれていることを明らかにした。物語性の探求においては、謎めいた手紙の解読とそれが葉山の過去と関連していることが重要であることを示した。また、人間性の探求においては、葉山の内なる葛藤や成長が描かれており、孤独や人間関係の複雑さが物語に深みを与えていることを示唆した。さらに、村上春樹が独特の文体や象徴的な要素を使い、物語性と人間性を巧みに描写していることを指摘した。以上から、『阿弥陀堂だより』は読者に深い思索を促し、物語性と人間性の関係性を探究する貴重な作品であることが結論される。
