近年スマホは多くの人に使用され、もはやスマホなしでは生活するのも難しい状況になってきている。その中で、電車、待ち合わせ場所などにいる人達ほぼ全員がスマホの画面を眺めているのを客観的に見るといささか狂気的なものを感じる。多くの人が、たくさんの時間をスマホに使用する昨今、人にどのような影響を与えるのかを心理学的、社会学的視点から見ていく。
結論から言えば、スマホ中毒になる仕組みがあるから、人はスマホに熱中してしまう。人は、「~かもしれない」という期待に対して大量のドーパミンが放出されるように出来ている。これを証明するためにある実験を行った。ブザーを鳴らしてから、サルにジュースを与えるAの実験と、ブザーを鳴らしてからサルにランダムの確率でジュースを与えるBの実験があった。サルのドーパミンの量はBの方が高く、飲んでいる時よりもブザーの時にドーパミンの量が多かった。ゲームのガチャや、パチンコにあれほど熱中するのは、「出るかもしれない」という期待によるものだ。これは、生存するための本能であった。狩猟採集の時代、この先に行ったら食べ物が見つかるかもしれないという期待を持つ本能がない限り、1日中食べ物を探すのは困難だろう。しかし、今その期待はうまくスマホやアプリの機能、に利用されている。必要のない期待に時間やお金を使い、自分のやるべきこともままならない状況にある人も少なくないだろう。スマホ依存のメカニズムを知ったところで、悪影響な部分を紹介する。まず、集中力の低下が見られると考える。これは、主にスマホ関連の情報が常に頭の端にある状態だ。「あのツイートはいいねを何個もらえるか」や「ゲームのイベントはなにか」「好きな人からのLINEが返ってこない」など、常にスマホの内容が気になる状態だ。2つ目の悪影響としては、ネガティブな情報が入ってくるというものだ。ヒトには、ネガティブ本能というものが存在し、ネガティブな情報は知っておかなければという気になる。ニュースでネガティブな事故の内容が多いのはその心理を利用したものだろう。ネガティブな情報を見るほどSNSでは、ネガティブな情報が並び、感情が少しずつネガティブになっていくだろう。3つ目は睡眠の質の低下である。これは、シンプルにブルーライトが睡眠に悪影響だからである。うまくコントロールする必要がある。
このように、多くは知られていないスマホ中毒になる理由と、その悪影響について述べてきた。スマホがない生活は難しい。だから、その危険性を知り、適応していくのが私たちにできることだろう。
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参考文献 「スマホ脳」アンディシュ・ハンセン:著 新潮社:出版 2020年11月