「人間とは何か?-現代哲学におけるアプローチ-」
近代哲学の父、デカルトは「私は思う、ゆえに私は存在する」と主張し、人間を思考する存在であると位置づけました。しかし、現代哲学はこれとは異なるアプローチをとっています。本稿では、現代哲学における人間像を探り、そこから得られる新しい視点を考察していきます。
現代哲学において人間を探るために、まずは「身体性」という観点が注目されます。身体性とは、人間が肉体としての存在であることを指します。人間は肉体によって世界を知覚し、認識することができるため、身体性こそが人間本来のあり方であるとされます。また、身体性によって人間の欲求や感情、行動などを形成することもあると考えられています。
次に、現代哲学におけるもう一つのアプローチとして「他者性」が挙げられます。他者性とは、人間は他者との関係の中で存在し、他者との対話や関係性を通じて自己を確立していくという考え方です。他者との関係を通じて得られる価値や意味が、人間の存在を豊かにするとされています。
さらに、近年では「存在の危機」という問題が取り上げられるようになっています。この問題は、現代社会が個人主義や消費主義の影響を受け、人間の存在が脆弱になっているということを指します。人間が自らの存在を確認し、意味を見出すためには、個人主義や消費主義の価値観にとらわれずに、他者や社会とのつながりを意識することが必要だとされています。
以上を踏まえると、現代哲学において人間は、単なる思考する存在ではなく、身体や他者との関係性、社会など様々な側面からとらえることができます。人間は、自己を確立するために他者との関係性を大切にし、自らの存在に意味を見出すことが求められています。そして、個人主義や消費主義の影響から自らを解放し、より豊かな存在として生きることが現代哲学における人間像の一つの答えとなるのかもしれません。