「自由意志と決定論について」
自由意志とは人間が自らの意思に基づいて行動する力である。一方で、決定論とは全ての出来事が必然的に起こることを意味しており、人間の行動もその例外ではない。自由意志と決定論には矛盾があるように思われるが、本論文では両者の関係について探究する。
序論として、自由意志や決定論についての主流な考え方を述べる。自由意志は人間の個体差や選択の自由を重んじる立場から広く支持されている。しかし、科学技術の発展によって決定論的な見方が強まっており、人間の行動も脳の神経回路の反応によって決まるという見方が主流である。
本論文では、これらの立場を批判的に検討する。まず、自由意志について考察する。自由意志の存在意義を問うために、「選択肢が限定された場合に自由意志は存在するか」という問いに答える。限られた状況下であっても、人間はその中から自分自身の意志に基づいて選択することができる。その選択は自由意志によるものであり、自由意志は選択の自由ではなく、選択をする力であることを明らかにした。
次に、決定論の立場からの課題を考える。決定論的な見方は、人間の行動を全て予測可能なものとするが、これには批判が寄せられる。人間は予測できない個体差を持ち、状況によって行動が変わることがある。また、人間が自分自身の意思に反する行動をとることもある。これらの個体差や自らの意思に反する行動は、決定論的な見方に矛盾する。
結論として、一方的にどちらかの立場に傾くのではなく、自由意志と決定論は互い補完的であると言える。人間が自由意志に基づいて行動することができるが、その行動には脳の神経回路による影響もある。また、人間の行動は予測不可能な要素を持ち、それを考慮することが必要である。自由意志と決定論にはそれぞれ問題点があるものの、両者を対立させるのではなく、互いに補完的なものとして捉えるべきである。