心理学のテストは正しいのか

心理学のテストは正しいのか

 ほとんどの人が、人生に一度は経験するであろう心理テスト。性格、運勢、これからの未来など気になる疑問に対して、答えが帰ってきた。私自身、どのような心理テストを受けたかは忘れてしまったが、受けたという記憶だけは残っている。しかし、実際あれが正しかったのか、間違っていたのかよく分かっていない人が多いだろう。その疑問に対して、根拠も踏まえて、心理学的観点を元に解説していく。

 結論から先に言おう。心理テストは、多くのものが嘘である。その根拠を血液型と性格の関係の実験から、述べていく。この実験には、O型90人、A型125人、B型83人、AB型39人の計337人の実験参加者のデータを用いている。実験の内容はそれぞれの血液型で一般的に言われている性格を、何型か伝えず、当てはまるかどうかを聞くといったものだ。「はい」と答えた人の割合を合算していくとはっきりとした結果が出た。例えば、A型の性格に設定している「陽気な」というものに対しては、7割前後の人が「はい」と答え、血液型間の大きな差は見られなかった。その他、15個の質問に対しても、特に各血液型似たような値を示しており、特徴的なデータは見られなかった。つまり、血液型と性格との関係性は強くないと分かる。では、なぜそのような迷信が生まれて来たのか。それは面白そうだという理由で便乗したメディアが1つの要因だ。今はないが、1昔前くらいにその様なテレビがやっていた。2004年の4月4日に「春の芸能人血液型スぺシャル」などの放送があったように、真面目に検証していたものである。そして、テレビの影響は教育面に移った。「~型の子にはこう教育するべきだ」などを伝える番組もあり、その時代に大きく影響を与えた。それが今の私たちに迷信として残っているように考える。落ち着いて考えれば分かることだが、集団が信じることによって、個人も根拠が無くても信じてしまうという状態になってしまうのかもしれない。

 根拠として取り上げたのは、血液型のテストのみであった。もちろん、すべての心理学テストは間違っているとは言えない。しかし、人の性格、行動の基盤となっているものは、その人の環境、人間関係、出来事を集積したものである。よって、その人の心理とまったく同じ人など存在しないだろう。これからは、心理学テストなどは、あくまで娯楽としてやることを勧める。

「『心理学テスト』はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た」

著者:富山大学教育学部教授 村上宣寛 発行:日経BP社  2005年4月

 主に、23pから43pを参照

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