「ローテクノロジーの支援か、ハイテクノロジーの支援か。」
日本ではスマートフォンが普及し、誰もがPCを手に入れることが可能な社会となった。さらに、仮想現実や拡張現実、ドローンなど先進国では様々な分野の技術が発達している。しかし、綺麗な水を使用するのさえ難しい国も存在する。今回は、発展途上国ではどのような支援が最適か、ローテクノロジーを用いた支援とハイテクノロジーを用いた支援の事例を比較し検討する。
世界には安全な水を使用できない人々が20億人存在する。その中でも1億2200万人
の人々、すなわち日本の人口程の人々が川や湖、未処理の地表水を使用している。トイレが使用できない人は36億人存在し、23億人の人が自宅に手洗い設備がない。そのような中、Unicefは井戸を掘る活動、トイレを建設する重要性の啓発、村を周り正しい手洗いの方法の指導を行った。安全な水や設備、知識がないために、赤痢やコレラなどの感染症への感染、繰り返す下痢による脱水により命を落とす子供が多かった。しかし、この支援のおかげで、下痢による脱水によって命を落とす子供の数が著しく減少し、安全にトイレを使用することができるようになった。一方、最先端のテクノロジーであるドローンは、ルワンダにある小さな村で、村民の命を救った。一人の女性が出産時に大量の出血をし、輸血が必要な状態になったが、村には血液のストックがなかった。都市部から血液を運ぶとなると何日かかるかわからず、命が助からない。そのような場面でアメリカのベンチャー企業であるZiplineのドローンが活躍した。ドローンであれば飛行機よりも簡単に飛ばすことができ、燃料にかかる費用も抑えることができる。このように、水を得られるように井戸を掘るなど衛生に関する支援と、ドローンを用いた人命救助について述べた。水を得るための道のりで、往復するのに1日の何割もの時間を使わなければならない場合、水をドローンで運び込むより井戸を掘った方が、そこでの暮らしやすさや、感染症を長期的に防ぐことができる。かといって、人命に関わる緊急事態が起きてから病院を立てるのでは遅すぎるため、早期の介入が必要である。
よって、2つの事例から、根本的な長期解決にはローテクノロジーを用いた支援、緊急性がある人命救助にはハイテクノロジーを用いた支援が適切であると考える。ローテクノロジー、ハイテクノロジーどちらの支援もバランスよく用いることが持続可能な社会の実現では求められる。
参考文献
・蟹江 憲史 「未来を変える目標」 2020
・zipline「Defence&Disaster Respons」
https://flyzipline.com(最終閲覧日:2021/10/30)
・unicef「水と衛生」
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_water.html(最終閲覧日:2021/10/30)
・unicef「衛生的な環境(トイレ)」
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_sanitation.html(最終閲覧日:2021/10/30)
・unicef「ソマリア 野外排泄ゼロを宣言した村人たちの取り組み」
https://www.unicef.or.jp/news/2017/0235.html(最終閲覧日:2021/10/31)
・unicef「新型コロナウイルスから身を守る手洗い 石けんと水を、すべての子供と家族に ユニセフによる支援」
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0153.html(最終閲覧日:2021/10/30)