民法について~金銭の貸し借り時の時効の考えかた~
民法は私たちの生活に密接する法律であるとともに法学のなかでは最もメジャーではないだろうか。また、大学生になり20歳になると契約などは原則自己責任で負わなければならない場合が考えられる。また、行動範囲も今よりもはるかに広がるので様々なトラブルに遭遇することも想定できる。そのため、民法の知識を身に着けることによりそのようなトラブルを未然に防ぐ必要がある。
民法とは私法の一般法であるということができる。もっと分かりやすく表現すると私人間(しじんかん)の法律関係を定めたものが私法、私人と国などの法律関係を定めたものが公法に分けることができる。私法には、民法や会社法などが存在する。これに対して公法とは刑法、行政法といった法律の分野になる。私たちの身近な暮らしの中にも民法は存在する。例えば、コンビニでお茶を買う行為。これも民法でいう売買契約にあたるのである。売買契約が成立すると、商品に関しては、買主は「商品引渡請求権」という権利を取得し、売主には「商品引渡債務」という義務が生じる。*1これが一番一番身近ではないだろうか。次に友人同士で行う金銭の貸し借りも民法に関係する。これもお金を貸した(借りた)瞬間に民法587条の「金銭消費賃借料契約」が成立する。しかし、お金を貸した場合には返ってこないことも想定される。その時に考えなければならないのが時効の存在である。まず、時効は5年である(2020年4月以前のものは10年)。では、時効はいつからスタートするのか。これは最後に返した日からである。例えば2021年の5月に5万円貸したとする。そして1か月後に1万円返った来た場合そこから5年であり、またその翌月に1万円返った来た場合から5年となる。つまり一切返済がない場合は時効はスタートしていないのである。しかし、借金の時効で注意が必要なのは5年が経ったから時効成立ではないのである。時効が成立するのには「援用」という手続きが必要なのである。これは、借りた側が貸した側に「時効が成立したので借りたお金はもう返しません」という意思を伝えることである。これをすることで時効が成立するのである。
このように、世の中には色々な法律が存在する。多くは知らない法律である。しかし民法は私たちの生活に直接関係する法律である。大学生になると時間に余裕ができてアルバイト等をしてお金を得ると同時に交友関係も広がり、ついつい金銭の貸し借りが起きてしまう。これが原因でトラブルに発展する可能性が考えられるので、しっかりとした知識を身に着けてきちんと対応することが求められる。
*1 永下 泰之 民法のまなび 上智大学法学部・大学院法学研究科(法律学専攻)http://www.sophialaw.jp/faculty/env/civil_law.html