日常に生かす行動心理学

日常に生かす行動心理学

 「学習」と聞くと、何か難しい単語を覚えたり、公式を使って数式を解いたりと言った勉強を想起しがちだろう。心理学でいう「学習」は、行動が変容することを指す。例えば、今まで朝にやっていたことを夜になるようになったら、それは学習と呼ばれる。

 学習は主に「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」に分けられる。前者ではパヴロフの犬が有名かもしれない。犬に対し、中世刺激(本来は唾液とは関係のない刺激のこと、今実験ではメトロノームの音)ののちに条件刺激(唾液を生じさせる刺激のこと、今実験では餌)を与えることを繰り返すと、中世刺激だけでも反射として唾液を分泌するようになる。このように元は何の反射も生まない刺激を用いて無条件刺激(本来反射を生まないが条件付けによって反射を生む刺激)を作り出す学習を古典的条件付けと言う。対して、オペラント条件付けとは、刺激に対して行動した被験者に対し快刺激か不快刺激を与えることを繰り返すことで学習させる方法である。子供のしつけは、子供の行動に対し褒めたり叱ったりして行動を変えさせていくので、オペラント条件付けに該当する。オペラント条件付けには、4つのスケジュールがある。第一は固定比率スケジュールで、一定回数分の行動が累積したら一回の強化(褒美や罰)が与えられるものである。ポイントカードのスタンプなどがこれにあたる。第二は、変動比率スケジュールで、平均すると一定回数の行動に対して一定の強化があるが、その強化の回数が決まっていないものを指す。つまり、一回の行動で大きな褒美を得たり、逆に大きな罰を被ったりすることがあるが、長い目で見ると間隔は変わらないスケジュールのことである。ギャンブルがこれに該当する。第三は固定間隔スケジュールで、固定比率に似ているが、設定された時間が近づくと次第に学習者の行動反応が上昇する。オーブンでお菓子を焼いているときに様子を見る行動などが該当する。第四は、変動間隔スケジュールで、平均すると直前の強化から一定の時間経過後の初発反応が強化されるが、毎回の時間は一定していないスケジュールである。言い換えると、いくら行動をしても強化数(褒美や罰が与えられる数)には影響しないスケジュールである。通話中の多い電話に何度も電話をかける状況がこれに近い。

 この4つのスケジュールは、人間の行動の変容や出現に大きな影響を与える。これら強化スケジュールの正しい知識は、実際の生活で多様な応用ができるだろう。

参考文献

・京都大学心理学連合編、心理学概論、ナカニシヤ出版、2016、100-108

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