コーポレート・ガバナンスについて

 コーポレート・ガバナンスを直訳すると「企業統治」になる。意味は社外取締役や社外監査役を置き、外部の目から経営を監視することである。つまり、会社が不正をしないように外部に監督をさせることにより不正防止の役目になっているのである。現代では、企業の不祥事によって会社イメージが大きく損なわれることが増えてきた。これは企業によっては大きなマイナスになるためどの企業も力を入れている。

 2022年の東証市場再編を見据えて、2021年にはコーポレートガバナンス・コードが再改訂された。大多数の上場企業が、現在のガバナンスよりも向上させる必要があると考えたため試行錯誤を繰り返したと思われる日本の法律では、株式会社はその会社に出資している株主のものとされている。しかし、現実的には企業には利害関係者が多く関係している。例を挙げるならば、従業員、取引先、お客様、金融機関等とあげるときりがない。どんなに素晴らしい商品を作ったとしても強制労働をさせていたならば大きな社会問題になる。過去にはそのような事例も存在した。そもそもコーポレート・ガバナンスという言葉は、はじめは1960年代のアメリカで、1990年代以降はヨーロッパや日本へと広がった。日本ではバブル崩壊後、金融機関は無理な融資をしたために莫大な不良債権をもってしまった。企業の統治機能が果たされていなかったのである。それ以外にも大手証券会社であった山一証券(自主廃業)による不正利益供与事件や大手食品会社による集団食中毒をはじめ多くの企業の不祥事が続出した。そのたびに、コーポレート・ガバナンスの必要性が説かれた。もちろんこれらの問題は明るみになる前に企業内部では分かっていたことであるが、軽視しすぎた結果問題が大きくなったのである。企業内部で処理してしまったため外部からのチェックが行き届かなかった面があった。これを教訓に日本でコーポレート・ガバナンスは機能されるようになってきた。具体的には次のような方向性で実行されている。①意思決定の仕組みをどうするか②利害関係者の利害関係をどのように調整するか③経営陣をどのように監督・監視するか。この3つである。*1取り組みとしては、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内ルールの明確化などが挙げられる。会社側と株主との関係や、会社の経営監視がうまくいっている状態を「コーポレートガバナンスが保たれている」と表現される。

 企業が不祥事を起こしてしまうと、その信頼を回復するにかなりの時間と費用がかかってしまう。そのため、特に上場企業は自社のホームページにその企業のコーポレート・ガバナンスの考え方が記載されている。その企業の特色が示されている。1度そのページを見てみるとより理解が深まるのではないだろうか。

*1 SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集 https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ko/J0478.html

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