1.序論
アドラー心理学には、必要不可欠な要素がある。それは「勇気」と言われるものだ。元々、アドラー心理学には「勇気づけの心理学」と言う別名称が存在し、この勇気が幸せになるための第一歩と考えられている。実際にこの勇気と言うものは、どういった事を指しているのであろうか。
2.本論
アドラー心理学における「勇気」とは、無茶な行動や蛮勇な事でない。一言で表すと「困難を克服する活力」とされている(※1)。それでは、「勇気=困難を克服する活力」が、いかにして人間の心理と関わってくるのか。
そもそも、勇気とは生きる活力を与える要素である。この勇気があるか否かで、生きる活力の存在と言うものに影響を与えるものだ。具体的には人の成長を促したり、所属感を実感する事ができると言う事である。これに関して、アドラーの弟子であるルドルフ・ドライカースは以下の内容を主張している。「人は人生の課題と出会い、それに立ち向かう勇気が必要」であり、「勇気づけがなくては成長する事も所属感を持つこともできない」と(※2)。結果、勇気づけとは人が成長していくために、必要不可欠な要素である事が分かる。
他にもこの勇気には「対人関係も向上させる」特徴がある。ルドルフ・ドライカースは「勇気を自己信頼の具体的な現れであり、自分自身の能力を堅く信じることから生まれる」と主張している。これを別の言葉を用いて表現すると、「勇気がある人は自己受容している」となる(※3)。
自己受容とは、自分を肯定的に捉える能力等の事であり、自己受容をする人は根拠性をもとに、自身の長所や短所を受け取める傾向である。更に、自身だけでなく他者についても受容することができるため、自然と対人関係が協力的になりやすいと言われている。結果、対人関係が良好になりやすいという特徴がある。
3.結論
アドラー心理学における「勇気」とは、人が成長していくために必要なものである。故に、仕事やプライベートの場面で上手く勇気づけが作用する事で、所属感を感じ、成長へと結びついていくものだ。そのため、どのようにして自身に勇気づけをしていく事が、自己の成長へと促せられるきっかけとなる。
その他にも、自身について自己受容の考えを持つ事で、結果それが他者への受容にも繋がる。
つまり、勇気を持って物事に取り組む事は、自身に影響を及ぼすだけでなく、周囲の人間に対しても良い意味で影響を与える事ができる。
4.参考文献
・悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門
著 永藤かおる
監修 岩井俊憲
(※1)(※2) P46
(※3) P48