1.序論
人生で一度は「自分の意志が弱い」と感じた出来事に直面をした経験はあるであろう。例えば、「ダイエットしたいのに、沢山食べ物を食べてしまう」、「勉強をして良い成績を取ろうとするが、勉強に手がつかずゲームをしてしまう」等、こういった経験をしたことがある人は、恐らく多いだろう。それは本当に自分の「意志が弱い」からなのか。
2.本論
やりたいと思い立てた目標に対して、何故それができないのか。相手から干渉された目標であれば、仮にそれが達成できなかった場合でも「自分の意志が弱い」と感じる事は少ない。その反対に、自分で立てた目標と言うものは、自分の能力に見合った理想像である。そのため、いくら時間が経ても手を伸ばせばいつかは掴めると言う物だ。それでは、自分が立てた目標に対してそれができない事は、一体誰のせいだろうか。言うまでもなく、その原因は自分自身にある。
「ダイエットで何キロまで痩せる」や「成績でオール5を目指す」等、自分が立てた目標に中々達成できない場合、「理屈で分かっているが、お腹が減ってお菓子を沢山食べてしまう」や「勉強の他にゲームをしたい気持ちがある」と言った言い訳をする人も中にはいるだろう。
前置きが長くなったが、アドラー心理学では「心は矛盾しておらず、全て繋がっている」と考えている。(※1)意識と無意識、理性と感情、心と体等は別れる事なく、補完的な存在と唱えている。例えば、現実では仕事に対して悩みを抱えている際、夢でアイディアが閃く場合がある。これは意識(現実)と無意識(夢)が悩みの解決のため、相互に補っているのだ。他にも、恋人を作る場合は理性のみや感情のみで選んでも、長続きしない事だろう。心を病んでいると身体にその変化が現れたり、逆に体力の低下を気力で補ったりできるのも、人間は分割不可能で、相互に補いあっているからだ(※2)。これらのように、人の心は矛盾や対立せず、それぞれの要素は互いに補っている事を「全体論」と言うのである。
3 結論
全体論で考えると「分かっているができない」と言う言い訳ができなくなる。その反対に、「変えたい」と言う思いがある事で、変えられる余地があるのだ。ダイエットをしたいのであれば、何故ダイエットを志たのか、考えてみよう。行動しない言い訳を断つ事で、なりたい自分に近づく事ができるのだ(※3)。
4.参考文献
・悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門
著 永藤かおる
監修 岩井俊憲
P93(※1)(※2)P94(※3)