1.序論
いつも幸せそうな人は、何を大事に考えてどういった事をしているのであろうか。実はアドラー心理学の観点から見ると、いつも幸せそうにしている人達に幾つかの共通点がある。その共通点とは全てで6つ程あり、この6つの条件を達成する事で、自然と精神的な健康へと結びついてゆく。
2.本論
「健康」については、WHOが「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。」と定義しているが、ここで言うアドラー心理学の「精神的に健康」とは、ある6つの条件を指している。その条件とは、「自己受容」、「所属感」、「信頼感」、「貢献感」、「責任感」、「勇気」である。「自己受容」とは自身の長所も短所も知り、それを受け入れる事。しかし、この「自己受容」というものは、自惚れと混同されやすく、両者の根本的に違う理由は、他者を受容できるかできないかにある(※1)。自惚れる人は独善的で他人を受容できない事から、高圧的や回避的な行動になりがちである。「所属感」は自分の居場所を感じ、その拠り所に安心感をもつ事。これが無い事で、疎外感を感じてしまう。「信頼感」は共同体に属する人を信頼できるかどうかと言う事である。「貢献感」とは自ら属する共同体に対し、役に立とうとする事だ。W.Bウルフ(アドラーの高弟)は、「どうすれば幸福になるのか」という著書の中で、「幸福とは自分が誰かの役に立っていると言う事や自分を待つ誰かがいる事」と述べている(※2)。それほど、「役に立つ」という事は幸せを感じやすい要素である。「責任感」とは、自分の権利行使に伴う責任を取る事や他者にも自分と対等の権利を認める事である。そして、最後の「勇気」とはアドラー心理学においては重要な要素であり、困難を克服する力である。
3.結論
一見、幸せそうにしている人は意識的に、もしくは無意識的にアドラー心理学での6つの条件を達成している人達である。いずれも「人として当たり前の事」だと感じやすいが、実際に人と関わると中々6つの条件を達成する事が難しくなる場合もある。重要な事はこの6つの条件を意識的に考えて、人と関わる事。これがアドラー心理学における「精神的な健康」というものである。
4.参考文献
・悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門
著 永藤かおる
監修 岩井俊憲
(※1)(※2) P46
(※3) P48