学級崩壊とは、授業中にいたずらをする、立ち歩く、注意に反抗する、無断で教室を出ていくなど、小、中学校で授業が成立しないことである。学級崩壊の原因はどこにあるのだろうか。
学級崩壊の件数は圧倒的に小学校が多い。小学校にしかない大きな特徴として、学級担任がほぼ一人で全教科を担当するということがある。児童一人一人に深くかかわれるというメリットがある半面、他のクラスのことに口を出すことはタブー視されている場合が多く、周りの教師によるチェック機能が甘くなることがある。そのため、教室が荒れ始めても担任が一人だけで問題解決にあたるケースが大半である。他の教師に手助けを求めたり、相談しない教師は学級崩壊への対応が遅れる傾向があるようである。学級崩壊の原因を子供だけに決めつける教員や、逆に責任感が強すぎて学級崩壊を自分だけの問題として捉えてしまう教員の元ではなかなか解決は望めず、他の教師が気づいた時には、既に手におえない状況になっていることもある。問題が多発する学級を受け持っている教員は、毎日気が休まることがなくストレスが積み重なり、しだいに視野狭窄に陥ってしまう。特定の生徒の行動を抑制するために授業を中断して叱責し、それでも収まらず問題行動を繰り返し、また叱責する、ということを繰り返し、次第に授業は成り立たなくなっていく。学級崩壊は教員にとって苦しいことであるのはもちろん、その他の子供たちにとっても大きな負担を強いることになる。荒れた生徒をコントロールできないことが学級崩壊の原因であるため、しっかりした教員がいるかどうか、あるいは教員の組織力があるかどうかがポイントとなる。
また、学校だけでなく、家庭や地域社会に問題があるということも考えられる。家庭環境の観点からは、学校のことを話しづらい雰囲気であったり、親が子の言うことを盲目的に信じて子供と同じレベルで友達や先生の悪口を言う、保護者同士や学校とのコミュニケーションが取れていない、といったことが考えられる。地域においては、全体として子どもや学校活動に無関心であったり、子どもと地域の大人の交流がまったくないといったような状況があるのかもしれない。
学校体制、学級、教師、家庭、地域、社会。これらの要素が良い状態にあれば、問題はおきず学級崩壊は起こらないだろう。しかし、どれか一つでも崩れ始めるとそれぞれのバランスも崩れ始め学級崩壊が起きる結果となる。学級崩壊の原因は個々のケースで様々な要因があり、一概に決めつけることはできない。よってどうしたら学級崩壊が起きないのか、またどうしたら改善できるのか、といった問題に広く答えを出すことは難しい。それぞれのケースにおいて原因を特定し、少しずつでも良い方に持っていけるよう努力することが何よりも大切である。
参考文献
学級崩壊の社会学ーミクロ要因とマクロ要因の実証的検討ー 須藤康介
明星大学研究紀要-教育学部 第5号 2015年3月