タイトル：自由意志の存在は神の存在を否定するか

序論：自由意志という概念は、人間が自分自身の行動に責任を持ち、自己決定を行うために欠かせないものである。しかし、一方で神という存在は、全能・全知であり、人間の運命や行動を予定していると考えられる。こうした神と自由意志の存在について、哲学的な議論がなされてきた。本論では、自由意志の存在が神の存在を否定するかどうかについて論じる。

本論：自由意志と神の存在について論じる際には、「神は人間の行動を予定している」という一般的な考え方が問題となる。もし神が全知であり、人間の行動を予定しているならば、自由意志は存在しなくなる。なぜならば、予定された行動を選ぶことは自己決定ではなく、選択肢はただ一つであるため自由意志が及ぼせないからである。

しかし、神が全知であり、人間の行動を予定しているという前提自体が疑わしい。全知である以上、神は未来を知っているはずであるが、未来を予定しているわけではない。未来が予定されていれば、人間の自由意志によって未来が変わることができなくなってしまうためである。したがって、神は全知でありながら、自由意志を持った人間によって未来が変化する可能性を残しているということができる。

こうした立場から考えると、自由意志の存在が神の存在を否定するわけではなく、両者は共存可能であると主張することができる。また、「自己決定」が重要である以上、人間によって起こる行動は予定されていないという立場は、個人の責任感を高める要素も持つ。

結論：自由意志の存在は神の存在を否定するかどうかという問題について、全知の神が人間の行動を完全に予定するという前提自体が疑わしいため、自由意志と神の存在は共存可能であると結論する。自由意志によって起こる行動は予定されていない以上、個人の責任感を高め、自己決定を行うことは必要不可欠であると考えられる。