【半導体とは何か?】
半導体とは、化合物半導体や元素半導体といった物質がもつ、電気伝導性の程度が導体と絶縁体の中間にある特性を指します。そのため、半導体を用いたトランジスタや集積回路などは、近代の情報技術に欠かせない存在となっています。本稿では、半導体の基礎や特徴、その代表的な素子であるトランジスタについて述べ、現代社会における半導体の役割について考察します。
【半導体の基礎】
半導体は、化合物半導体と元素半導体の2つに大別されます。化合物半導体は、2種類の元素から成る結晶構造をもつもので、この種類にはガリウム・アルミニウム・インジウムを主成分とする「GAAS」と呼ばれるものなどがあります。一方、元素半導体は、単体原子から成る結晶構造をもつもので、人工的に純度の高い半導体素材を作り出す技術の進歩が大きく関わっています。
半導体の特徴は、電気伝導度が導体よりは高く、絶縁体よりは低いということです。具体的には、半導体素材に電場をかけると、伝導電子というものが生成され、その数を増加させることで導体と同程度の電気伝導性が現れます。一方、違う種類の半導体素材を接触させて作った「PN接合」では、電子と電子の欠陥である「空孔」というものが相手側に移動しあうため、一部の材料が電子伝導型となり、逆に一部の材料が正孔伝導型となります。この相対的な電気伝導性の変化を利用したのが、半導体素子と呼ばれるものです。
【トランジスタとは?】
半導体素子の中でも、特に重要なのがトランジスタと呼ばれるものです。トランジスタは、信号を増幅したりスイッチの役割を果たしたりする機能をもつ素子で、その小型化・高性能化によって情報技術が飛躍的に進歩しました。
トランジスタには、「バイポーラトランジスタ」と「MOSトランジスタ」の2種類があります。バイポーラトランジスタは、P型とN型の半導体を接合させた「PNPトランジスタ」とN型とP型の半導体を接合させた「NPNトランジスタ」があり、信号を増幅する場合に使われます。MOSトランジスタは、絶縁被膜の上に電極を置いたもので、スイッチング回路やメモリなどに使われます。
【半導体の役割】
半導体素子を用いた回路は、電子機器や通信機器などあらゆる分野で利用されており、現代社会には欠かせないものとなっています。特に近年では、人工知能やロボティクスなどの分野において、高性能な計算機装置を作ることが求められており、トランジスタなどの小型化・高密度化が進んでいます。また、エネルギーを効率的に供給するためにも、半導体素子が用いられるようになっています。
【結論】
本稿では、半導体の基礎やトランジスタの特徴、半導体素子が現代社会に与える影響を考察しました。半導体素子は、情報通信技術やエネルギー技術などあらゆる分野で欠かせない存在となっており、今後もその進化が期待されています。