白人と黒人との力関係は何から生まれたのか

白人と黒人との力関係は何から生まれたのか

 今でも、肌の色に対する差別は存在する。黒人差別に苦しむ人、またはそれを題材にした映画なども私個人多く見てきた。白人が黒人を支配する構図が生まれたのはいつからだろうか。いやそもそもなぜなのだろう。それを、歴史の知識を元に紐解いていきたいと思う。

 根本的な差は、全体としての文化の差である。金属を加工していた時代にいまだに農耕、狩猟を行った居たのだから、戦力的、知的差があるのは当然である。しかし、その文化の大きなギャップは偶然なのだろうか。結論をいうと必然であった。それには、確かな理由がある。しかし白人の方が優秀な遺伝子を持っていたからではない。あくまで、環境要因で生まれたものだ。白人のほとんどは、ユーラシア大陸に住んでいた。このユーラシア大陸に住んでいたことこそ、大きな要因だ。この横長の大陸は緯度がほとんど変わらない。つまり気温、日照時間などに大きな差が見られないのだ。15世紀ぐらいの頃、農耕を成功させるかがその国、コミュニティーにとって大きな課題だった。それが同じ緯度にあったことで、農業で広まりやすく、農業の発展も早かった。対するアフリカは、縦に長く気候条件も厳しかった。その年をしのぐためには狩猟をするしかなく、また農業を見つけても気候が違うため広まりもしなかった。アフリカが狩猟をしているうちにヨーロッパの方では、農業が成功したことで、「銃・病原菌・鉄」という強力な武器を生み出せたのだ。食料を貯蓄できるようになった人々は暇な時間が増え、銃や武器を生み出す。豊かになった事で、人と家畜の密度が増え家畜の病原菌に対する免疫を生み出した。これが他国との戦いの際に、強力な生物兵器となった。スペインとアメリカが戦った時も、銃で死んだ兵士より、病原菌による2次災害の死者の方が多かったという。この「銃・病原菌・鉄」は縦長の大陸であったことで、互いに切磋琢磨し、技術と病原菌を交換しながら、いつの間にか、追いつけぬ差を作り出したのである。違いは、「横長だったか、縦長だったか」の違いでしかない。それによる進化スピードの差は本当に驚きだ。

 白人と黒人は地理的な条件においての差が今の力関係を生み出している。歴史は、過去の事実を知り、今の私たちに生かすためにある。この歴史は、いかに身を置いている環境がその後の未来に影響するかという事を伝えているように思う。学ぶ環境、行動する環境など今選んでいる環境が、未来を決めていくだろう。

「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 上、下」

著者:ジャレド・ダイアモンド 訳:片倉彰 出版社:草思社 上2012 下2012

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