「日本企業におけるコーポレートガバナンスの改善に向けた取り組み」

概要
近年、日本企業においてコーポレートガバナンスの問題が取り上げられるようになってきた。コーポレートガバナンスとは企業が経営を行う上でのルールや仕組みを整え、取締役などの経営陣が適切な意思決定を行い、株主や社員に対して責任を持つことが求められる概念である。本レポートでは、日本企業におけるコーポレートガバナンスの改善に向けた取り組みについて研究する。

背景
近年、日本企業の株式市場において株主が短期的利益を追求する動きが見られるようになってきた。その結果、長期的な企業価値の向上よりも短期的な利益確保が重視されるようになった。この状況に対し、外国投資家や日本の機関投資家から株主説明会などでコーポレートガバナンスの問題が指摘されるようになった。さらに、一連の企業の不祥事が発生したことも背景にある。

現状
日本企業のコーポレートガバナンスにおいて、以下の問題点が指摘されている。

1. 取締役会に関する問題
日本企業の多くは、取締役会が設置されている。しかし、その多くが議決権を持たない顧問取締役や、会社と直接的に関係のない企業の役員が就任するなど、意思決定の中心となるべき取締役会の機能が果たされていない。

2. 監査役に関する問題
日本企業では、監査役会が設置されている。しかし、その多くが企業内の人間で構成されているため、独立性が担保されていないとの指摘がある。

3. 資本政策に関する問題
日本企業の多くは、配当性向が低く、事業拡大に対する投資が優先される傾向がある。そのため、投資家からの投資効率の改善が求められる。

改善策
日本企業におけるコーポレートガバナンスの改善に向けて、以下の取り組みが行われている。

1. 取締役会の強化
株主による取締役会の改革が進むなか、取締役会が独立して機能するための措置が進んでいる。例えば、取締役会の長には、非執行役員で独立した人物が就任することが求められている。また、日本経済団体連合会が発表した「憲章30」では、取締役会に独立役員が半数以上就任することを目指している。

2. 独立監査役会の設置
日本企業においては、独立監査役会が設置されるようになってきた。2018年には、内部統制報告書を求める金融商品取引法が改正され、財務諸表の監査役による検証・チェックがより厳格に行われるようになったため、監査役会による独立監査が強化されている。

3. 株主優先の経営方針の転換
日本企業においては、配当性向の改善や株主還元の重視が求められるようになってきた。日経新聞社が主催する「日経平均株価」における株価指数の株式利回りが3％以上であることを前提とした「トピックス」に昇格するため、配当性向を上昇させる企業が増えるなど、株主優先の経営に転換する動きが活発化している。

結論
日本企業におけるコーポレートガバナンスの改善に向け、取締役会の強化や独立監査役会の設置により、意思決定の透明性を高める取り組みが進んでいる。また、配当性向の改善など、投資家に配慮した経営方針の改善も求められている。これらの取り組みによって、日本企業のコーポレートガバナンスが改善され、企業価値が向上していくことを期待したい。