恋愛に使える心理学

恋愛に使える心理学

 恋愛をどうしてもうまく行かせたい時、心理テストや恋占いに頼りたくなる人間は多いのかもしれない。実際、多くの心理テストや恋占いが存在している。しかしこれらは、科学的根拠に基づいていないものが多い。そこで今回は、心理学の知見から恋愛に使える科学的事実を紐解いていく。

 そもそも、なぜ心理テストや恋占いの診断結果を見て「これ自分に当てはまっているかも」と思う人が多いのだろうか。これは、「バーナム効果」によるものである。バーナム効果とは、ありふれたことを言われると自分のことに当てはまっているように感じてしまう現象のことである。これにより、科学的根拠はなくても、自分のことを言い当てられたような気持ちになるのである。これを恋愛に応用するならば、異性から何か相談を受けた際に、誰にでも当てはまることを、さもその人にしかない傾向のように言ってみることが考えられる。そうすると、この人は自分のことを分かっている、相談できる頼れる人、と相手が思ってくれ、自分の評価が上がるだろう。恋愛に実践できる他の心理学の知識として、まずは「単純接触効果」(別名ザイアンスの法則)が挙げられる。これはロバート・ザイアンスによって証明された。接触回数、つまり何度も顔を合わせれば合わせるほど相手の中で自分の評価が上がる、というものである。この手法は、恋愛以外だと新商品の宣伝の際などに使われる。しかし、元々の評価が低い場合は、単純接触効果による肯定的な結果は得られないので注意が必要である。次に、吊り橋効果が考えられるだろう。これについてはすでにご存じの方も多いだろう。吊り橋やお化け屋敷など、心拍数が上がる場所に行くと、その心拍数の上昇を一緒にいる相手への好意と勘違いしてくれる、というものである。これは実験が行われ証明されている、科学的根拠に基づくテクニックであるが、これも注意が必要である。ホワイトらによる1981年の実験によると、相手が魅力的であれば吊り橋効果による好感度の上昇が期待できるが、相手が魅力的でないとむしろ評価が下がってしまう傾向にあると明らかにされた。吊り橋効果は有名だが、万能ではないことが証明されていると言える。単純接触効果も吊り橋効果も、その前の評価が悪いといい結果が出ないことには注意しなくてはならない。

 一口に恋愛に応用できる心理学的知見と言っても、全てが万能というわけではない。しかし、研究者による実験結果があるからこそ、信用度の高い手法と言えるだろう。バーナム効果により、より当たっているように感じ、頼りたくなるのは心理テストや恋占いかもしれないが、科学的に根拠がある手法をぜひ信じてもらいたい。

参考文献

・Bertram R. Forer, The Fallacy of Personal Validation: A Classroom Demonstration of Gullibility, The Journal of Abnormal Psychology (44), 1949, 118-121

・田久保純子・秋廣翔子、Newton、ニュートンプレス、2021、30-33

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