一番幸せになる金銭の使い方

「一番幸せになる金銭の使い方」

 労働によって得られる報酬は「金銭」である。金銭は生活していく上で必要なものであるが、最も幸せになる使い方は何か自己決定理論による人の3つの基本的な欲求から考察する。

 「自己決定理論」というデシとライアンという心理学者が提唱した内発的動機づけの概念を発展させた理論がある。その理論の基本的心理欲求理論によると人は三つの基本的な欲求を持っている。周囲の人と良好な関係を築きたいという「関係性欲求」、有能な人物でありたいという「有能欲求」、自分の行動は自分で決めたいという「自立性欲求」である。これらの欲求が満たされると幸福感が増す。「関係性欲求」を満たす金銭の使い方は、例えば、他人に食事を御馳走することである。金銭を使い「御馳走すること」もそうだが、最も「食事をする」ということに意味がある。美味しいものを食べると、幸福感に関わる生理活性アミンの一種で、中枢神経系の伝達物質として働く「セロトニン」という物質が分泌される。互いにセロトニンが分泌された「幸福感を感じている状態」であると、関係を良好に保ちやすい。「有能欲求」を満たす金銭の使い方は、例えば、高額な車を買うことである。高額な車に乗っていれば、「裕福であること」と車に乗るだけで大勢に主張できる。「裕福である」ということは、「仕事で有利な立場にいる」、「それだけ報酬をもらえるような仕事をしている」ということを連想させ、結果的に「有能である」ということを主張できるというメカニズムだ。「自立性欲求」を満たす金銭の使い方は、例えば、他者に決められた「おつかい」のような買い物方法ではなく、自分の好きなものを購入する方法である。買いたいもの、予算、個数など全てを自分で決定するという購入方法である。望むものを自発的に購入することで自立性欲求を満たすことができるのだ。これらの3つのそれぞれの欲求を満たす金銭の使い方の例を挙げた。関係性欲求、有能欲求、自立欲求の3つの欲求を考慮した上で、最も欲求が満たされる金銭の使い方は「自主的に他人のために使うこと」であると考察する。

 すなわち、他の人に何かしてあげるために金銭を使用するということである。金銭を使うことで関係性の欲求はもちろんのこと、他者のために金銭を使うことで有能であると感じることも可能である。この行為を誰かに強制され行うのではなく、自主的に行えばこの3つの欲求を満たすことになると考える。

参考文献

・溝上慎一「(用語集)内発的動機づけ・自己決定理論」http://smizok.net/education/subpages/aglo_00010(intrinsic-motivation&SDT).html(最終閲覧日:2021/11/3)

・脳科学辞典「セロトニン」https://bsd.neuroinf.jp/wiki/セロトニン(最終閲覧日:2021/11/3)

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