社会保障という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。なかなか思い浮かべることは難しいかもしれない。しかし、社会保障は生活していくうえで必ず関わりのあるものである。例えば、病気やけがをして病院に行き、お金を支払うときは保険証の提示があれば3割負担で済む。これも社会保障が関係しているからである。ここでは社会保障の基本的な考えについて説明する。
*1社会保障の機能としては、①生活安定・向上機能、②所得再分配機能、③経済安定機能の3つが挙げられる。なお、これらの機能は相互に重なり合っていることが多い。まず、生活安定・向上機能であるが、これは冒頭でも説明したように病気やけがをした場合に病院で治療を受けた場合も医療保険により自己負担は原則3割の金額を支払うだけでよい。また、高齢により働くことが出来ない場合も年金を受け取ることができる。2つめは所得再分配機能である。これは、わかりやすく言えばお金持ちから税金などのかたちで資金を調達して、低所得層へそれを配ることや、働いて給料をもらえる人々から働くことが出来ずに給料をもらえない人々に対して所得を移転することがわかりやすいと思う。例えば、生活保護制度がその最たる例である。この制度は税を財源にした富裕層から低所得層への再分配が行われているのである。3つ目の機能としては、景気変動を緩和し、経済成長を支えていく「経済安定機能」がある。これは、雇用保険制度がわかりやすい。雇用保険制度は失業中の人にいわゆる失業手当等を支給することによって収入を下支えする効果だけではなく大きい視点から見ると、個人消費の落ち込みが原因で景気悪化を防ぐ効果がある。また、年金制度のように一定額の現金が支給される制度は、高齢者等の生活を安定させるだけでなく、消費活動にもつながり経済活動の安定にも貢献している。これら以外にも、生活が困った時には支援を受けることができるという安心感があることで、経済安定の機能があるといえる。
社会保障について初歩的な内容を説明した。社会保障というと難しく感じるかも知れない。今まで学校で深く学ぶことがなかったのでそう感じるのも当然である。しかし、実は生活に密着している事柄が多いのである。この仕組みがありしっかりと機能が発揮されているため知らず知らずのうちに安心して生活できているといってもいいのである。今後、社会人になると給与から、所得税や社会保険料が徴収されることになる。これらのお金は社会保障に使われていてしっかりと社会に貢献できているのである。
*1 知るぽると 金融広報調査委員会 https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/syakaihosyo/shosyo001.html