学習性無力感の意味
学習性無力感(Learned Helplessness)とは、生物が自身の行動に伴わない統制不能な刺激を受けると、その後の刺激に対する反応の動機づけの低下や学習の遅滞が見られるという現象である。
この現象は様々な動物で確認されている。例えばイヌに対して、音に反応して移動すれば電気ショックを回避できるという学習の実験が行われた。この時、イヌが音に反応して移動したにも関わらず電気ショックを与え続けると、イヌは自身が行動しても電気ショックを回避できないという学習をしてしまい、次第に回避行動が減少した。
人間を対象とした研究では、学習性無力感には個人差があり、その要因として原因帰属の理論が提唱されている。原因帰属とは、人が自分の身に起こったことの原因をどう解釈するかという考え方である。学習性無力感を持ちやすい人は自身の失敗の原因を、内的(自分のせいである)・安定的(いつもそうである)・全体的(どんな種類の出来事にも当てはまる)であると考える傾向にある。
例文
・人間の学習性無力感の症状には、うつ病との共通点が多い。
・自己効力感が低いと学習性無力感を生じやすい。
・努力しても成績が上がらなかった子どもが、学習性無力感に陥って勉強をしなくなった。
・努力の後の成功体験の積み重ねで、学習性無力感の予防や治療が可能であると考えられている。