混合経済とフリーライダーの関係性について

 アメリカの経済学者であるポール・A・サミュエルソンは、1970年にノーベル経済学賞を授与された。授与の対象となった論文のタイトルは『静学的および動学的経済理論の発展に対する業績と、経済学における分析水準の向上に対する積極的貢献』である。
 
 サミュエルソンは、解析的手法を経済学に導入し「サミュエルソンのテスト」を指摘した。有名なサミュエルソンのテストでは、厚生経済学のある命題に対し、効用可能曲線を用いて財集合Aと財集合Bのどちらが優れているのかを指摘している。※1
 サミュエルソンの活動分野は広くマクロ経済学はもとよりマルクス経済学や厚生経済学、公共経済学など経済学のほとんどの分野に影響を与えた。※2
 サミュエルソンは経済学を再構築した経済学者である。混合経済を提唱し、市場メカニズムと政治的決定、もしくは個人の自由と社会的責任を混ぜ合わせた。※3
 サミュエルソンが提唱した混合経済の概要をまとめてみる。

 現在の資本主義国のほとんどが採用している経済体制が、混合経済である。市場経済であるのだが政府による経済介入が強いため、民間部門と公共部門が混在しているのだ。政府による経済介入の具体例は、国営企業や政府開発事業などが挙げられる。また、計画経済に市場を導入した社会主義国も存在し、これも混合経済と呼ばれている。※4
 フリーライダーという経済用語があり、ただ乗りする、と和訳される。フリー・ライダーが存在することで生じる問題をフリーライダー問題という。これは、公共の施設等の財に関して、他人が負担する費用により、費用を負担しない者が利益を得ることを指している。負担分配が各自に任せられるならば、費用負担を回避であろうと言うのだ。このような、ただ乗りをする、ことは公共財の過小供給の要因となるため、政府による供給の必要性があるとされている。※ 5
 簡潔にまとめると、ただ乗りする、ことが可能だと認識すると誰でも費用を負担しなくなるのだ。その結果、公共の財やサービスの供給量が過小になってしまうというのである。※ 6
 
 しかし、サミュエルソンは、我々の住む社会が人間という集団により構築され、誰でも無償で社会からの恩恵を受けているとした。公共財に対するフリー・ライダー問題は確かに存在するが、混合経済においてサミュエルソンは個人の自由と社会的責任を混ぜ合わせた。サミュエルソンのこれらの指摘から推測すると、真のフリー・ライダーは存在しないと言うことなのであろう。

※1 有斐閣経済辞典 サミュエルソンのテストp.460
※2 有斐閣経済辞典 サミュエルソンp.460
※3 ゼミナール経済学入門2008年9月8日日本経済新聞社福岡正夫p.413
※ 4 有斐閣経済辞典 混合経済 p.422
※ 5有斐閣経済辞典 フリー・ライダーp.1067
※ 6有斐閣経済辞典 フリー・ライダー問題p.1067

参考サイトWikipedia『ノーベル経済学賞』※ノーベル経済学賞受賞者のピックアップのためにのみ参考にしたhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E8%B3%9E

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