ライフステージとアイデンティティの関係性について
1.序論
人は生きていく中で周囲の人物や環境から影響を受ける事により、「自分とは一体は何だろう?」と思考を巡らせた経験があるであろう。それに至るきっかけは、他者との比較であったり、自分の無力さを感じてしまう事等が挙げられる。これらは人が生きていく上で当てはまる事であり、心理学の観点からすればこれをアイデンティティの形成と言う。
2.本論
アイデンティティとは、「他者と区別された、その人自身の個性」と言う意味を指す。このアイデンティティは生後まもない時期から、形成されていくものである。
心理学者のエリクソンによると、「アイデンティティはその人の環境との関わり方の影響を受けながら、8つの異なる段階を経て発達する事」、「各段階での心理・葛藤が起き、その危機をどう乗り越えるかによって、成長する」と提唱してい
る(※1)。つまり、生後から死に至るまでに8つの段階があり、それを乗り越える事で成長していく事を指す。
特に幼年期では、この時期に「自己概念」が発達していくものである。これは保護者や学校での友人等、他者とのやりとりをする機会を通じて、自己概念や自尊心、自信の形成に影響するため、とても重要な事である。学校を入学後(青年期)には、学校での交流の他に、SNS等でより家族よりも友人と関わる時間が増えていく経験をした人もいるであろう。これはアイデンティティの一連の流れであり、大切な結びつきが家族から友人関係へ移行する事で、よりアイデンティティは強化されていく。
また、この青年期には自分が何者であるかを模索し、様々な活動や役割を通し、多くの選択肢を検討し、混乱していくものである。これはアイデンティティの危
機(※2)と称され、これを乗り越える事が大人としての自己確立へ繋がっていくものである。
3.結論
アイデンティティを確立していくためには、他者との交流の機会が重要である。また、どの年代(段階)にも葛藤が生じる事があるため、どの段階が楽と言う訳ではなく生きていく上でそのような危機を乗りこえる必要がある。危機を乗り越えるには、自力な方法以外でも他者との交流で乗り越えられる事がある。危機に陥るにしろ乗り越えるにしろ、アイデンティティの観点から成長していくには、人のやり取りが重要である。
4.参考文献
ひと目でわかる心のしくみとはたらき図鑑(※1)P148 (※2)P149
2019年8月1日 第一番第一刷 発行
黒木俊秀(日本語版監修)
小野良好(訳者)
株式会社 創元社