「正常性バイアス」の意味
正常性バイアスとは、危機や脅威が迫っているという情報を、無視あるいは過小評価し、正常の範囲内と捉える認知傾向のことである。
正常性バイアスは、McLuckie, B. M. により名付けられ、災害心理学者によって精緻化された言葉である。
人間は災害が起こっても、目の前に危険が迫ってくるまでは、その危険を認めない傾向がある。このような正常性バイアスは、リスクを低く見積もり過小評価することで起こる。不安やストレスを軽減させる効果があるが、リスクの回避を妨げる要因ともなる。
発生したリスクが急激に悪化するよりも、緩やかに悪化する方が、正常性バイアスの影響を受けやすい。これは変化が小さいほど、正常の範囲内と捉えやすく、一度正常として認識すると、正常の範囲自体が広がってしまうためである。
「例文」
・ウイルスが大流行している場合でも、身近に感染者がいなければ正常性バイアスが働く。
・洪水は変化が緩やかに生じるため、正常性バイアスが働き、避難が遅れやすい。
・正常性バイアス(nomalcy bias)は、正常化の偏見と訳されることもある。
・正常性バイアスは、災害時の人間心理を説明するのに適した言葉である。