防衛機制の意味
人は、欲求不満に直面した時にそれを解決するために様々な行動を取る。まずは合理的な解決を試みるが、それができないときは攻撃的・衝動的な反応を取ることがある。これを、攻撃・近道反応と呼ぶ。さらに、自分では意識しない中で、欲求不満から自我を守るために様々な反応を取る。この自我の働きをフロイトが発見し、その娘のアンナ・フロイトが防衛機制と呼んだ。
防衛機制には抑圧、合理化、同一視、投影、反動形成、逃避、退行、代償、昇華がある。抑圧は、欲求不満を無意識の中に追いやることを言う。合理化は、もともとの動機を隠し、自分の行動に理屈をつけて正当化することを指す。同一視とは、他者が持っている能力を自分のものであると思い込むことである。投影とは、自分が持っている欲求不満や負の感情を他人が自分に向けていると思い込むことである。反動形成とは、もともとの欲求と反対の行動や態度を取ることを言う。逃避とは、欲求不満を生む状況から他の環境に逃げることである。退行とは、幼い子供のようにふるまうことである。代償は、もともとの欲求を類似した別の欲求に置き換えて欲求を満たすことを指す。昇華とは、欲求を社会的に価値のある行動に置き換えることである。また、フロイトの弟子のアドラーは防衛機制の中に補償もあると考えている。
例文
・防衛機制は自らの心を守るために大切な反応だ。
・恋人に振られた人がその悲しみを文章や歌に変えることは、防衛機制の一つである昇華にあたる。
・欲求不満に対し短絡的に行動せず防衛機制によって対処することは、社会に適応していくことにも繋がる。
・人間が劣等感を克服するために努力する意識の働きが、補償であると考えられている。