証言の信憑性の意味
何か事件や事故が起きたとき、その場に居合わせた目撃者の証言は、特に信憑性が高いと考えられ、裁判の有力証拠となりやすい。しかし、目撃者の記憶は、さまざまな心理的影響を受けて、状況によって変化しやすいことから、一概に信用を置くことができないという理論を、証言の信憑性という。
目撃証言が影響を受けやすい心理要因として、凶器注目効果・誤導情報効果・無意識転換が挙げられる。凶器注目効果とは、犯人よりも、その犯人が持つ武器に注目が行きやすく、犯人の顔をはっきりとは覚えていないというもの。誤導情報効果とは、目撃後に与えられたさまざまな情報によって、当時の記憶が異なる方向に誘導・記憶の転換がされてしまうことをいう。無意識転換は、事件とは無関係な場で見かけた人物と、犯人を同一とみなし、誤認してしまうことを指す。
人間の記憶は、激的な部分に注目が行きやすく、その場に居合わせたとしても、曖昧なところが少なくない。また、目撃後に与えられた情報で、簡単に記憶が置き換わることも認識しておかなければならない。
例文
・目撃者の記憶は、さまざまな心理的影響を受けて、変化しやすいため、一概に信用できないという理論を、証言の信憑性という。
・人間の心理構造を理解したうえで、証言の信憑性については、懐疑的になる必要がある。
・証言の信憑性を考えるうえで、目撃者が影響を受けやすい要因は、大きく分けて３つある。
