赤字国債の意味
赤字国債とは、国の歳出に対して税金・官業収入などの歳入だけでは賄いきれない分を補うために発行される国債である。
本来、財政法では、国の会計は国債を発行して資金を借り入れることなく、税金収入等のみで運営するべきと定められている。例外として、社会インフラを建設する公共事業にのみ、「建設国債」を発行することが認められている。道路・港湾河川・学校などの社会インフラの整備は、産業発展や人材育成を促し、将来長期間にわたって税収を増加させることが見込めるため、その年限りの歳入内におさまらなくても後々ペイできるからである。
しかし、1965年の東京オリンピック後、不況のため税収が大きく落ち込み、公共事業以外の分野でも税収等だけで会計運営を行うことが不可能になった。そこで、あくまで臨時の特例として特例公債法を定めて、財政法で禁止されている赤字国債の発行が一年に限り許可され、赤字国債での資金調達が成された。この法の名前を受けて、赤字国債のことを特例国債とも呼ぶ。
その後、1970年代に石油ショックで再び税収が減少すると、1975年に10年ぶりに特例国債法が制定され、赤字国債が発行された。それ以降ほぼ毎年特例国債法の制定と赤字国債発行を繰り返している。
赤字国債は、その年の国会の審議で認められた金額の範囲内でしか発行できず、審議の際には償還計画表も提出される。こうして無尽蔵の発行に歯止めをかけてきたが、近年では特例国債法の期限を1年ではなく3年、5年と延長させたり、規律も緩んできており、赤字拡大に懸念が持たれている。
2022年度現在、歳入全体に占める赤字国債の割合は30%弱である。
例文
不測の出来事で税収が減ったとしても、極力赤字国債に頼らない予算編成を行い、財政健全化に尽力すべきだ。