言語剥奪の意味
言語剥奪とは、自然に言葉を獲得するための、刺激が無い状態におかれることである。Lenneberg, E. H. は、子どもの言語学習について、臨界期が存在するという臨界期仮説を提唱している。幼児期から思春期（12～13歳）にかけて習得され、この臨界期以後に獲得した言語は、母国語と呼べるレベルでの習得はできないとされている。この臨界期仮説は通常、失語症からの回復・子どもと大人の比較・発達障害児・思春期前後の言語学習などを通して間接的に観察されるものである。だが、稀に言語剥奪と呼ばれる環境で育った子どもの事例が見つかることがある。狼に育てられたとして有名な少女、Amala（推定年齢1歳）と Kamala（推定年齢8歳）の記録。母国語の英語とほとんど接する機会無く、13歳になるまで父親に監禁されて育ったGenieの記録がこれに当たる。貴重な例であるが、臨界期仮説を説明するには不十分である。
例文
・意図的な言語剥奪状況は倫理的観点から、用意することができない。
・臨界期研究は、言語剥奪に近い失語症や発達障害などの、言語獲得が困難な事例を通して行われる。
・言語剥奪状況で育った子どもの事例はあるが、論拠としては不十分である。
・言語剥奪状況で育った事例は、虐待など複合的な要因の影響が考えられる。
