服従とは
心理学において、服従の心理とは、権威のある人物に屈して、自己の意思に反するような行動をすることである。
S.ミルグラムは、戦争犯罪についての心理を調べるために、被験者が電気ショックの装置を使って、もう一人の被験者(実際には、被験者のふりをしている)にたいして、どれほどの高電圧を与えるか、という実験をした。その結果として、人は、権威者から命令を受けたときには、たとえそれが残酷な命令であったとしても従ってしまう、ということを証明した。
この『ミルグラム実験』は、ドイツに実在した戦犯であった、A.アイヒマンの名前をとって『アイヒマン実験』ともよばれている。戦争犯罪に加担した軍人たちは、精神的には異常というわけではなく、平凡な人々であった。そのことと同じように、だれでも、命令を受けたときには、従いたくないと思うようなことでも、服従の心理によって、従ってしまう可能性がある。
例文
○他人を服従させようとするような人には、だれも忠告をしてくれなくなる。
○ユダヤ人を迫害した人々には、指導者にたいする服従の心理がはたらいていた。
○あの政治家は、派閥の中心人物に絶対服従といった態度だ。
○上司がいうことのすべてに服従してしまう必要はない。